4月, 2016年

アベノミクス失速、早急に「ご破算」を――早房長治

2016-04-21

(アベノミクスの評価については、しばらく前に、守山淳さんが的確な文章を投稿されています。私はそれに賛同のコメントを書きましたが、改めてアベノミクスについて一文を草しましたので、投稿させていただきます)

失速状態に陥ったアベノミクス 早急に「ご破算」を

 アベノミクスが4年目を迎えて、だれの目から見ても明らかな失速状態に陥った。過去1年間の実質経済成長率はほぼゼロ成長で、マイナス成長であった四半期が2期もある。今後も経済が成長軌道に戻る可能性は薄い。安倍晋三首相をはじめとする政権幹部とブレインたちは「経済は遠からず好転する」といった強気の発言を繰り返しているが、その見通しを裏付ける論拠は示されていない。

 アベノミクス失速の主たる要因は2つある。景気を好転させ、経済を成長させるためには、国内総生産(GDP)の約3分の2を占める消費と、企業の設備投資を活発ににすることが不可欠である。ところが、現状では、両方ともほとんど増加しないばかりか、弱含みしている。

 
 アベノミクスの目標は消費者物価上昇率を2年間で2%引き上げ、経済をデフレから脱却させることであった。そのためには、日銀による異次元の金融緩和をテコに、消費者と企業経営者にその可能性を信じ込ませ、消費と設備投資を活発にしなければならない。しかし、今日に至っても、消費者、企業ともデフレ脱却の可能性を信じていない。とりわけ消費者は、物価上昇は生活水準の低下を招くと直感し、節約に走った。多くの企業経営者も、このような消費者の行動性向を敏感に感じ取り、設備投資と賃金引き上げに対する慎重な姿勢を崩さなかった。

 トヨタをはじめとする輸出大企業は円安などによって巨額の利益を挙げたが、国内における投資はほとんど拡大せず、賃金引き上げも、全体として、実質賃金を引き上げるレベルには達しなかった。

 この結果、経済情勢、とりわけ金融情勢はアベノミクスや超金融緩和によっても基本的な大変化は起こらず、「借り手不足」の状況が続いている。

 今年、年初来の円高と株安によって追い込まれた黒田・日銀は1月29日、突如、マイナス金利導入に踏み切った。マイナス金利は数年来、欧州数か国の中央銀行と欧州中央銀行(ECB)が導入してある程度の効果を挙げている金融システムであるが、国情がまったく異なる日本で有効であるか否かは未知数であった。実際の結果は日銀が予想したものと正反対であった。外為市場は大きく円高に振れ、株式市場は大幅安を繰り返した。この流れは今日も続いている。マイナス金利政策は日銀による「苦し紛れの愚策」だったといえる。

 振り返って考えてみると、デフレ脱却政策が正しいものであったとしても、2,3年の短期政策や外国の政策をまねて、成果を挙げられるものではない。まず、企業が目覚ましい技術開発によって長期的利益を向上させ、その上で充実した賃金引き上げを行う。一方、消費者は増えた家計収入をを生活向上のために積極的に使う。このような好循環が生じない限り、デフレから抜け出すことはできない。そのためには、なによりも、時間をかけて経済構造改革を行う覚悟を固めなくてはならない。

 アベノミクスの狙いを全否定する必要はないにしても、現実の経済・金融政策としては早急に「ご破算」にした方がいいであろう。そうしないと、近い将来、国債は暴落し、金融正常化は不可能となり、経済全体も破綻するという重大事態が生じるであろう。     (以上)

国旗を掲げ、国家を歌って、日本人のIDENTITYを示そうーー小林昌三

2016-04-21

“挑戦するシニア” みなさま へ

戦後71年、敗戦後 米駐留軍等により 様々な変革が実施されたが、幸いにして 「日の丸」と「君が代」 は遺された。この国旗 掲揚 と  色々なセレモニーで歌われる国歌は 日教組などの強い反対で 現在でも 多くの学校などで 実施されていないらしい。

これ おかしくないだろうか?
アメリカや オーストラリア等の国では 到底 信じられないことである。これは 自分が日本人である自覚を 『させない』 か  『弱 くさ せる』 為ではないのか? 日本で生まれ、育った人間が様々な機会に 国旗を掲揚したり、必要あれば国歌を歌う・・・・国民として当然の 行為である。

敗戦後の 日教組の教育のせいか(?) 国民として 祭日などに 国旗掲揚と 祭典や 入学・卒業式などで 国歌を斉唱する 習 慣が  何 故か この頃 薄らいでいないか?

もうじき、5月の連休、子供の日・憲法記念日、また緑の日 、昭和の日等の祝祭日も間近である。

そこで、 日本国民として プライドと自信を持ち、世界に向け アイデンテイの象徴でもある 日の丸国旗 と 国 歌・君が代 斉唱 をもう一度 考え、見直しする 機会にされては どうだろう?

もちろん、国際的スポーツの祭典などで 優勝者が 出身国の国旗を会場で 高々と掲揚し表彰、同時に 国家斉唱 となる・・・・ 素晴 らし い習慣である。これは 今後とも 是非 続けてほしいもの
である。
そこで、振り返ってみると、この 71年間でいつの間にか、昔・天長節日など 堂々と学校などで君が代を 歌い、日の丸の旗を  校門 など に 掲げた 良き習慣がなくなってしまった(?)、誠に残念なことである。

少なくとも 私が小学生の頃(千代田区立番町小学校)までは、何の疑いや抵抗もなく 校長始め、全ての教員及び 全生徒が 自然 体で  国 歌を講堂などに会し、歌ってきた。 勿論、校門には 高々と日の丸の 国旗が 掲げられていた。

ところが、何時ごろか 日教組などから圧力がかかり一部 左ががった 教師などの反対が強まり、
必要もない議論 が盛んとなり、国旗掲揚 と 国家斉唱 が控えられる結果となった。

現在でも 多くの 学校で 国旗掲揚が控えられ、また 国歌斉唱 が中止になっていると 聞く。
この 現象は おかしくないか? 

国 や 自治体が 何も 強制する必要はないが、日本人・日本国民として 当然の責務であり、2千7百年(?)の 長い歴史にプ ライ ドを  持ち、祝祭日など 各家庭に日の丸を掲げたり、必要あれば 『君が代』 を斉唱する・・・・。国民として 当然であり、自然の行為では ないだろうか?

私は 右翼でもなければ 左翼でもない 平凡な一日本国民にすぎないが、海外からみていると、
日本が決めた 国民の祝祭日に 国旗をかかげる家庭が 激減している様に感じる。

何故だろうか? つらつら 考えてみると どうやら 左ががった日教組に属す先生方が 国旗掲揚と 国家斉唱に 『反対』 の立 場か ら 国 旗掲揚 と 国歌斉唱 を中止を強く 要請し、学校長などに 圧力をかけた結果のよ うである。

この議論は 現在でも 続いている様子だが、反対する人々は そもそも 日本人としてプライドがないのか? 自国に愛着と自信が もて ない のだろうか?

繰り返しになるが、日本という土地に育ち、住み そこで様々な活動に従事、色々な記念行事に参加する日本人が 自然に口ずさむ国 歌・ 君が代。(何も天皇を讃える歌ではない)、そして何百年も前に定められた 日の丸は 実に素晴らしく、世界の人々が一見して”日本”  と認識できる。

もちろん、人様々であり、思想や考え方が 異なって当然だあるが、日本人として identity を明確にする・出来る国旗や国歌を  尊重し、機会ある毎に 掲揚したり、斉唱する良き習慣は 今後とも
ずうっと 続けて行きたいものである。 これは 主義主張、思想信条に関係のない 日本人としての 基本的行為だろう。 国際社 会の 一員として 日本の存在と確認し、発信力を高める上でも、日の丸を 是非 掲げて欲しい、

連休を前に そんな事を考えています。 みなさんは どうお考えになられますか?

豪ヒマ人   より

アベノミクスは事実上、破綻、経済は借り手不足で低迷ーー守山淳

2016-04-11

三井物産が戦後初の赤字決算を発表しました。前期連結純利益3064億円の黒字に対し

今期は700億円の赤字の見込みです。三菱商事は前期4006億円の税引後黒字に対し今

期は1500億円の赤字の見込み。両社ともエネルギー部門が強くそれが業績好調を支え

きましたが昨今のエネルギー価格の暴落で大幅赤字を余儀なくされました。

これに対し非エネルギー部門の強化をして伝統的な商売を守って来た伊藤忠商事が
3300

億円の連結益の見込みで業界初の首位に躍り出ることが確実となりました。
世界の政治経済社会は激変しています。三井物産、三菱商事の決算に見られるように
激変

により企業の強みが弱みに変わることもあります。商社の強みはあらゆる業界との商
売が

ある事です。しかし両社は資源バブルに浮かれ一本足打法と揶揄される様に利益の殆
どを

資源頼った結果、伝統的な非資源、顧客商売を軽視しました。激動する環境を先読み
する

のは難しい昨今ですが自社の強みは何かを再確認する一方で複数の強い部門を強化し
てお

くことの重要性が示された商社の決算になりました。
私が現役の頃は商社氷河期時代と言われ三井物産の連結純利益は300億円程度でし
た。
安宅産業、日商岩井、トーメン、ニチメンが消え大手の伊藤忠、丸紅すら倒産の危機
がさ

さやかれた時代です。その後の商社(日本全体もそうですが)は結局中国の成長軌道
に支

えられてきた面が強いと言えます。その中国が過剰設備と景気の悪化で今回の赤字決
算の

大きな要因になりました。今後は如何にチャイナリスクと向き合い成長が期待できる
アセ

アン、インドなどを取り組んで行くのか。経済以外の政治リスク(テロ、イスラム問
題、

移民難民問題、中国の軍事的脅威による日本経済への影響、北朝鮮の核ミサイル攻撃
など)

も含め難しい経営の舵取りを迫られる時代となって来ました。

さて久し振りのクー氏(エコノミストのリチャード・クー氏。守山さんはクー氏のレ

ポートを参考に、この文章を書いておられるようです――早房注)の報告書です。

FRBが3月の利上げを見送っただけでなく2016年の利上げ予想回数を当初の4
回か

ら2回に下げた事が好感され多くの市場が安定を取り戻し市場に大きなプラスとなり
まし

た。処がFRB高官が4月末にも利上げはあり得ると発言して当局と市場のツバ競り
合い

が始まっています。これはFRBが金融正常化に極めて強い決意がある事を示してい
ます。

何故彼らは急ぐのか、と言えば量的緩和で既に法定準備額の16倍もの流動性を市中
に供

給してしまった中央銀行は本当に民間が利益の最大化に向かってカネを借り始めたら
マネ

ーサプライもインフレ率も今の16倍になる可能性に直面するかで、そうなったら市
中に

放出された過剰準備を一気に回収しようとせば市場も経済も大混乱に陥りリーマン
ショッ

ク以来の努力が全て水泡に帰す事になりため、何としてもこの事態を避けねば成らな
い。

故に民間需要が本格的回服する前に問題解決をしておきたいと思っているからです。
しか

し7年間ジャブジャブの金融緩和に慣れ切った市場は「金融緩和中毒」に陥っていま
す。

当局としては患者が禁断症状を示しているからと言って手遅れになる前に正常化を進
める

以外ないと思っています。FRMが心配しているのは株式市場よりも不動産市場で商
業用

不動産は2008年のバブルのピークを既に大幅に超えて上昇しています。この市場

2009年にFRBが積極的に救済をして崩壊を免れました。もし米銀がルールに従
い借

り換えに応じなかったら巨額のデフォルトが発生し住宅バブルの崩壊で米国経済と金
融は

ガタガタになっていたでしょう。しかしこの救済が人々を安心させ今回のバブルの一
因に

成っています。その意味で当分この商業用不動産問題でFRBは苦戦するでしょう。

欧州ドラギ総裁も黒田日銀総裁も本質的な問題を何も解決していません。金融緩和を
した

のに経済は低迷。これは借り手不足の問題です。中央銀行が出したインフレ目標や成
長率

予測はどの国でも殆ど達成されていません。これは中央銀行による金融緩和で景気を
回復

させるという発想自体が論理破綻をしているのに相変わらず中央銀行がもう一歩金融
緩和

をすれば景気は改善すると云っています。これだけ緩和をして景気が回復しない現美
を直

視しないのは従来の経済学の「民間は必ず利益の最大化に向い金利さえ充分に下がれ
ば必

ずカネを借りる」という大前提に縛られいるからです。実態はバブル崩壊で債務超過
に陥

った経験から金利が下がってもカネは借りないという現実に目を瞑っていると云えま
す。

欧米の経済学者は日本経済が1990年以降低迷したのは日銀の利下げのスピードが
遅す

ぎたからだと2000年頃から言い出しました。これを意識したバーナキンFRB議
長は

リーマンショック後、史上最速でゼロ金利まで持って行きましたが彼らの予測に反し
米国

経済は借り手不足で長く低迷しました。これは正に今多くの経済学者が陥っている過
ちと

同じです。

安倍総理にクル―グマン教授らが消費税延長を含む財政出動の必要性を説いたと報道
され

ていますが彼らは何故金融政策が効力がなかったかを充分に理解した上の提言という
より

「景気が良くないので財政もやったらどうだ」と云った程度と言うのが私の印象で
す。

彼らは一年前「何故クー氏は金融緩和を敵視するのか分からない」と批判しました。
最近

はやっと自分達の提案が景気回復の決定打にならない事を認めましたがその理由が民
間の

借り手不在による事までは気が付いていない様です。

金融緩和中毒に陥っている市場から巨額の資金を早目に回収せねば成らない大きな試
練が

これから待っています。金融緩和の本当のコストは解除後に初めて明らかになりこの
政策

が有益であったか否かの判断は解除が終了して初めて判断出来ます。私はその時点で
の結

論は「よくもこんな馬鹿げた事をやってくれたな」という物になると思っていますが
その

結論は最も早い米国でも恐らく5~10年後であろうと思います。

以上です。当初華々しかった異次元の金融緩和は今は話題にも成らりませんがこれは
アベ

ノミックスは失敗という声を選挙を前に封印しているのが現実だと思います。方向転
換が

難しい金融緩和ですから改めるには一刻も早い対応が必要だと思いますが安倍政権に
その

決意はないのだろうと思います。正に日本経済沈没にならない事を祈るだけです。

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守山   淳   経営コンサルタント   オフィス   J.M.   代表

   〒107-0062 東京都港区南青山 3-12-12 南青山312ビル
 604号室

   携帯電話: 080-1075-6266  FAX: 03-6459-
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自民議員が海外メデアに反論することはいいことーー小林昌三

2016-04-11

朝日新聞、4月9日の記事に、前・特命担当大臣をやっていた 山本議員が自らのブログで海外メデアに反論するという記事が掲載された。
こういう動きは 『大賛成!』。

 山本一太 参議院議員は 安倍政権ゴマすりの筆頭。中大卒・米Georgetown 大学院でも勉強している。元・JICA 職員、UNDP(国連開発計画)にも勤務、父親は 元・農水大臣 山本富雄(余り聞いた事無 い が・・・)だから、2世議員。

要するに 珍しく英語に強い国会議員の一人 、ネット・ブログ・web など駆使するのが得意らしい。
第二次安倍内閣で 特命大臣をやった 安倍晋三総理のお気に入りの一人。

まあ、こういう 海外マスメデイアとの 情報交換は 大いにやるべき・・・・批判されたらやり返す・当たり前の日常茶飯事。  特に 外国では それが 当たり前に毎日繰返されている。

発信力の少ない・弱い 日本のマスメデイアにとっては むしろ有難い存在 ではないだろうか?

ゴチャゴチャいう 大学の先生とか 評論家みたいな バカが 日本は 多すぎないか?
自信を持って 海外マスメデイアとの意見交換 をどしどし 進めて欲しいものだ、それも最低・英語と日本語で。

とまあ、私の勝手なコメントです。

豪ヒマ人   より

PS: こんな事を わざわざ記事に 取り上げるほど、日本は遅れている(?)のではないか

アベノミクスの行方とマイナス金利ーー福井義夫

2016-04-10

アベノミクスの行方とマイナス金利
2016年2月25日
福井 義夫

 アベノミクスは2012年末、衆議院選挙圧勝を受けて誕生した第二次安倍内閣
の発足時に、日本経済の立て直しを旗印に賑々しく“三本の矢”と喧伝された政策である。その後3年余りを経過し、その実態が明らかになりつつある。
 ここに、本件について一庶民として思うところを記述してみたい。

1.結論
  1)アベノミクスは既に終焉していると思う。総理自らこの表現を使用す
    る頻度が減ったこと、成果がでていれば大々的に宣伝しているであろ
う。海外からの評価も殆どみられなくなっている。総理当人もそれで
良しとしているのではないだろうか。

  2)アベノミクスは国民の気持ちを高揚させ巻き込む事により支持率を高
め本来の目的である“憲法改正”当面は“安保法案”の成立を果たす
ための、一種の目くらましであったと思う。もし、首尾よく成果が得
られたとしても国民のためよりも、国力増強に向けられたのではない
だろうか。

  3)当初の“三本の矢”は、円安、株高を果たしただけで賞味期限は切れ
    かけている。そのため空疎な“新三本の矢”なるものを掲げてみせた
が、その達成が難しいことは総理当人が一番良く承知しているはずで
ある。
今年の参議院選挙対策であることは余りにも明らかであろう。柳の下
の二匹めの“泥鰌”になるかどうかは国民自身の選択の問題である。

  4)日銀による金融政策頼みの“財政ファイナンス”が経済政策というこ
    とでは、いずれ破綻するであろうことは想像に難くない。この度の“マ
    イナス金利政策“は日銀の手詰まり感を世界に示す結果となったので
    はないか。世界のマネーのリスクオフ(投機の終わり)の動きを見誤
ったとしか思えない。

  5)アベノミクスの根本的な誤謬は、日本経済の実体を見誤っていたこと
    ではないか。我が国は既に成熟社会であり経済大国である。潜在成長
率もゼロに近い状態が継続していた。図表-1を見れば明らかであろう。
日銀が大規模な金融緩和のためにお金を刷り貨幣価値を下げマネタリ
ーベースを増やしてみたところで、マネーストックは増えず結局のと
ころ国債を多量に購入しただけの結果となり、お金は日銀の当座預金
として行き場もなく眠ったままである。
                       
 円安で空前の利益を上げたのは大企業の輸出産業のみ、しかし、彼ら
は我が国経済の実体即ち、為替相場の影響を受けやすい体質であるこ
とを良く承知していて、いずれ円高に振れることも予想済み、内部留
保を積み増すだけである。見せかけだけのベースアップでは、トリク
ルダウンなど起こりようがない。庶民は原油安(図表-2)のメリットも
受けられないでいる。下がるべき物価が下がっていない。

 (6)脱インフレ(2%の物価上昇)、成長率(GDP)2%程度のアップの目
    標は未だ達成される見込みもない。この状況を政権も優秀な官僚たち
    も予想していなかったはずがなく、全て承知の上のことであろう。

2.アベノミクスは何をもたらしたか。そのお題目は下記三本の矢とされる。
   1)大胆な金融緩和
   2)機動的な財政出動
   3)民間投資を喚起する成長戦略 
その旗印の下、既に3年余を経過したが我が国の経済は回復したのであ
  ろうか。否であり回復の兆候は見られない、日銀の金融政策による円安・
  株高をもたらすことにより一見景気回復と錯覚させられているだけであろ
う。
この方策は経済大国を自任する国のすることなのか。脱デフレ政策によ
  る物価上昇によりり逆にGDPが伸び損なっているのではないか。
20014年度はマイナス成長、2015年度の4月以降の各期はマイナス成長
となっている。
   物価上昇によりGDPの約6割を占める民間最終消費支出は減少してい
る(図表-3)。その原因は実質賃金の減少による(図表-4)。

 民間消費支出については、2013年の消費税増税を見越した駆け込み需要
があったものの、アベノミクスによりむしろ減少に転じている。
財政出動は所詮一過性のもので(図表-5)、一時GDPの押し上げ効果を見せるのみ。
現政権に交代してからの伸びは顕著である。相変わらずのバラマキ体質らしい。

 今一番重要な政策であるべき成長戦略については実績が見えないので評価の仕様がない。為替相場の影響を受けない産業構造をいかに創るべきかについて方針すら示せないのは情けない限り。
未だ第一次“三本の矢”の総括もなされないままに、第二次“三本の矢”
  が打ち出された。
   1)2020年にGDP600兆円達成
   2)希望出生率1.8の実現
   3)介護離職ゼロ
   これらには何の具体策もなく単なるスローガンとしか受け取れない。
明らかに次の参議院選挙を睨んだ目くらましのつもりではないか。

 結局のところ、第一次アベノミクスにより得られたことは、
1) 円安:大企業の輸出産業が大幅な利益を得た。その結果賃上げも
  実施された。ただし、中小企業にはその効果は波及してい
ない。
2) 株高:円安に呼応して株高となった。ほんの一部の人は恩恵を受けたが、大多数の国民は株高は好景気と錯覚させられているだ
けであろう。
  思惑外れは以下の通り。
   1)消費者物価2%アップは、当初日銀の目標は2年後とされていたが、
未だ達成されず2017年まで先延ばしされていて、このままではデフ
レ脱却の達成は難しいと思われる。
2) 金融緩和の効能を見誤ったこと。本来金融緩和は景気過熱時の引き締めに効果を発揮するものであろうに、資金の需要のない時に
やるべきことではないはずだ。
      他に狙いが有った場合は別。全て承知の上でお札を刷って多量の
      国債を買い入れる、即ち財政ファイナンスを行い、国債を売った
使い道のない金融機関の金は日銀当座預金としておく。政権の思
惑通りではないか。兎に角何が何でも円安・株高を維持したいと
いうことか。
日銀の独立性が問題になってくるであろう。

3.マイナス金利について
    マイナス金利については素人にはその目論見は分かり難い。ただ、日
   銀の単独行動は「海外の荒波をそのままに、琵琶湖の波だけを鎮めよう
   とするもの。森宗一郎氏」の言葉に共感できる。
    日銀は、これまでの金融緩和政策の結果がはかばかしくなく限界に近
付いてこのままの継続が難しくなった。そこで、金融緩和政策の一貫と
してマイナス金利に踏み切った。要するに手詰まりに陥った。
    ・日銀当座預金に手数料(マイナス金利)を課すことにし、銀行に金
     を使わせようとする。
    ・銀行はお金の貸し先がないので、株や資産に投資するかも知れない
が世界の投機資金のリスクオフの流れに反したことをするだろうか。
    ・国債を買って、日銀に高値で売り手数料の回収を図るか。
    ・銀行は預金の金利を下げる。いろいろなサービスの手数料を上げる。
    ・預金者はタンス預金にする。
    ・値下がりすれば金を買う(金は価値がゼロになることはない)。お金
     と時間のある人は海外に持ち出す。

                              以上

  (早房から=福井さんの原稿も、つい最近まで見つからなくなり、経済ができ
   ませんでした。ブログ管理者として深くお詫びします)

2月の勉強会の報告が今頃になって、申し訳ありませんーー早房長治

2016-04-10

 2月の勉強会は同月26日、「マイナス金利とは何か。私たちの生活への影響は」をテーマに開かれました。
 その後、3月24日の「シニアのためのコンサート」の準備に忙殺されている間に、私のパソコン技術の拙劣さもあって、記録が見つからなくなってしまいました。昨日、偶然、見つかりましたので、早房が提出した資料と、討議の要旨を報告します。また、福井義夫さんがマイナス金利とアベノミクスの関係を分かりやすくまとめて下さいましたので、別稿として掲載します。

 <早房が提出した資料>

 ● 日本におけるマイナス金利――1月29日、日銀の金融政策決定会合で導入が決まる。民間銀行が日銀の当座預金に預ける預金のうち、2月16日預け入れ分からマイナス0.1%の金利を適用する。民間銀行が手持ち資金を日銀の当座預金に貯め込まず、民間企業向け融資やリスク資産投資に回すように促すのが表向きの目的。年初から混迷状態にあった金融・証券市場を円安株高に戻したい安倍政権の強い希望に黒田日銀が応えたという見方もある。

 ● 先行したEU――金融市場でマイナス金利が定着しつつあるのはEUである。ドイツ、フランス、オランダ、スイス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、オーストリアなどで、その例が見られる。政策金利として最初に導入したのはデンマーク国立銀行で2012年7月。その後、ヨーロッパ中央銀行(ECB)、スウェーデンとスイスの国立銀行もマイナス金利を採用した。政策金利としてのマイナス金利の現状は、ECBが0.3%、デンマークが0.65%、スイス0.75%、スウェーデン1.1%。マイナス金利の狙いは、デンマークとスイスが自国通貨の安値誘導、ECBが景気刺激である。

 ● マイナス金利の利点と欠点――利点としては円安株高への誘導が容易に。また、住宅ローンを含む長期金利が低下し、投資増加の要因になる可能性も。欠点としては、金融機関の利ザヤが縮小し、収益が減少、金融仲介機能が弱体化する恐れが生じる。また、年金や保険の運用が困難になる可能性も。

 ● 日銀の金融機関への配慮――民間金融機関の日銀当座預金残高は約260兆円(1月末)あるが、これについては引き続き年0.1%ないしゼロ%の金利を維持し、金融機関の過度の収益減少を防いだ。

 ● 日銀がマイナス金利を導入して以後の金融業界の動向――一時は日銀の思惑通り、円安株高が実現したが、短期間のうちに円高株安に逆転した。円高は一時、1ドル=110円台に達し、年初、1万9千円超であった株式市場は乱高下を繰り返して、2月13日には、1年4か月ぶりに1万5千円台を割り込んだ。
 
 ● 一般庶民にも影響が及ぶ――長期金利の引き下げに伴って、住宅ローンが大幅に下がった。一方で、3つのメガバンク、地方銀行とも、定期預金金利を一斉に引き下げている。メガバンクは企業預金や個人の大口預金の金利を実質的にマイナス金利にすることを検討している。証券会社はMMFのような国債を中心に運用する商品の販売を中止した。生保各社は保険料引き上げの検討に入った。

 ●今後の展開は――①日銀の狙い通り、民間金融機関の企業融資や住宅向け融資が大幅に増加。経済が成長②日銀があと2,3回、マイナス金利幅を拡大している間に、何らかの形で経済を成長軌道に乗せる③企業の資金需要は乏しく、金融機関は資金がだぶつき、収益悪化。マイナス金利政策が破綻→国債が暴落→膨大な財政赤字を解消するためにハイパーインフレ政策に踏み出しも。

  <討議の要旨>

 ● 日銀が「マイナス金利導入によって、金融機関から企業への貸し出しが増加し、企業の設備投」とマイナス金利の利点を述べているのに対して、疑問を呈する人が多かった。「カネを貸して金利を取られるというのは、常識に反する」「金融機関の経営が苦しくなり、仲介機能が弱体化する恐れがある」「庶民の預金金利も下がり、将来はマイナス金利になるのではないか」など、不安の声が続出した。

 ● 一方、「金利引き下げは企業にとってプラスであることは間違いない」「金利がマイナスになることを重大視する必要はない。従来の金利引き下げと同様に考えればいいのではないか」「住宅ローン金利の引き下げは庶民にとってもプラスとなる」などの意見も出た。

 ● しかし、全体としては、マイナス金利を評価する意見は少なく、「日銀が従来とってきた超金融緩和策が行き詰まったので、苦し紛れにマイナス金利導入に踏み切ったのではないか」という見方も出た。結局、「先行しているEUの例を見ても非常に分かりにくい政策なので、当分、成り行きを静観するほかないだろう」ということになった。

   <付記>

 日銀がマイナス金利政策を打ち出してから2か月以上を経過したが、日銀が狙った効果はまったく実現していない。それどころか、市場は円高株安に動き、政策はまったくの失敗状態にある。しかし、黒田総裁は強気を崩しておらず、マイナス金利を強める構えさえ見せている。日銀がこれ以上、無理な金融政策を続けたら、アベノミクスの失敗に止まらず、日本経済の破綻を招く恐れすらある。

                                              (以上、文責=早房長治)
                     

飲みたい紅茶ブランド(ちょっと味のある話)ーー守山淳

2016-04-05

知人から届いた紅茶の話でロンドン駐在時代を思いだしました。

『飲みたい紅茶ブランド』というアンケート調査の結果、1位はフランスの老舗「フォ

ション」で約7割の人が飲みたいと答えました、特にアップルティーは定番商品だそう

です。2位は英国の「フォートナム・メイソン」で英王室や貴族らに愛飲されて上品で

伝統的な味で紅茶文化の象徴でもありブレンドの技術は世界一と定評があります。因み

に我が家はロンドン駐在以来、フォートナム派です。以下3位はハロッズ(英)、4位

はウェッジウッド(英)、5位 ロイヤルコペンハーゲン(デンマーク)、6位 トワ

イニング(英)、7位 レピシエ(日本)、8位 マリアージュフレール(仏)、9位

リプトン(英)、10位 ミントン・ティー(英)だそうです。流石に紅茶の国、英国

が6社入っています。因みに英国のコーヒーほど不味い物はないと思います。煮込み過

ぎるのか煎じ茶の様で「コーヒーをマズく入れる技術は世界一」と揶揄されています。

紅茶にはブランドの他に産地による茶葉の違いもありダージリン(インド)、アッサ

ム(インド)、ウバ(スリランカ)等々がありますが同じダージリンでも農園や収穫時

期によって香りや味は大きく変わってきます。フランスは果実や花の香りを加えたフレ

ーバーが得意ですが英国は伝統的なブレンドが得意です。

更に英国にはアフタヌーン・テイーと言ってサンドウッチ、スコーンと呼ばれるビスケ

ットの様なパン?にジャムと独特のクリームをたっぷり塗って紅茶と共の午後のひと時

を優雅に過ごす習慣があります。特に季節が良くなった新緑の季節に庭先にテーブルを

出してこのアフタヌーンテイーを楽しみながら友人との他愛のない会話は正に悠々たる

英国ならではの習慣です。日本では紅茶はストレートかレモンを入れて飲む人が多いと

思いますが英国ではミルクティーが一般的です。ミルクを先に入れるか、後から入れる

か。未だに英国では決着が付かず延々と持論を展開しながら午後のひと時を過ごす。

せわしい今の世の中で貴重なる習慣かも知れません。因みにミルクを先に入れてそこに

熱い紅茶を注ぐのが一般的には多い飲み方です。

 そのロンドンに30歳から4年間駐在をしました。1歳半で渡英した娘は近くの幼稚

圓に入ります。言葉も何も分からない彼女は戸惑いもあったのだろうと思います。

「座りなさい」と言われると日本では正座をしますが英国では胡坐を掻きます。流石に

女の子が胡坐は・・と直すのに苦労をしました。仕事で夫婦で夜出掛ける事が多くあり

ました。その為に前任者から引き継いだイギリス人のお婆ちゃんを頼みました。最初に

夫婦で出掛ける時に娘は親に捨てられると思ったのでしょう・・・窓の処で大泣きしな

がら飛び上がっているのを後ろ髪引かれる思いで出掛けた事を今でも忘れません。

娘は気丈にもお婆ちゃんが来ると「行ってらっしゃい」と送り出す様になりました。語

学は耳なら覚えるのが一番です。ある時、私の英語を発音がおかしいと指摘する様にな

りました。

そして忘れられない我が家の貴重な経験談。我が家の長男、啓介はロンドン生まれです。

英国ではホームドクター制度が充実しており普段は掛りつけの医者に診て貰い必要に応

じて大病院に行きます。出産は特段病気ではありませんし家内は二度目ですから自分で

ある程度は判断できました。そろそろかな、という時に隣り町にある大きな病院に入院

しました。日本と違って出産に亭主が立ち会うのは義務です。以前会社の後輩が奥様の

お産の時に事があるのでと生まれる前に会社に戻ろうとしたら医者と看護婦に取り囲ま

れ「本当に帰るのか!」と凄まれたそうです。

段々迫る陣痛に肩で息をする女房の手を握りながら励ます位しか亭主には出来ません。

時々現れるマレーシア人の見習い看護婦は脈を図るだけで出て行ってしまいます。夜に

なり病室に医者と看護婦が顔を出しました。イタリア人の出産を終えたとかで「GOOD

LUCK」と言って帰ってしまいました。結局見習い看護婦を呼んで3人で分娩室に向か

います。見習い看護婦の「PUSH,PUSH」(リキメ、リキメ)の声と共に息子の頭が少

し出てきました。その頃に初めてイギリス人の正規の看護婦が分娩室に現れます。そし

て無事に出産。あんなに疲れた事はありません。

何故「赤ん坊をミドリ子というのか」が初めて分かりました。羊水に浮かんでいる子供

はミドリ色です。それが大気に触れと物の見事にぱ~と肌色に替わります。正に赤ちゃ

んとはここから来たのだと感動した事を覚えています。

生まれたばかりでまだへその緒が付いたままで啓介は家内の腕に抱かれました。母親が

子供が可愛くてしょうがないのはこの事からも当然の事です。肩で息をする家内を見な

がら看護婦が最初に放った言葉は「お茶にする、コーヒーにする?」でした。

聴いてはいましたのでお茶と答えると正規の看護婦が病室を出て紅茶の用意しに行きま

した。その間、残った見習い看護婦がへその緒を切り体を脱脂綿で拭きます。日本では

直ぐに産湯に入れるのでしょうが英国では脱脂綿で拭くだけで産湯は誕生して4~5日

後だと記憶します。紅茶を抱えて看護婦が戻ってきます。まだ肩で息をする家内を目の

前にして皆でお茶を飲みます。「やれやれ、一仕事したね~」という事などでしょう。

暫くの間、家内は貴方は良く悠々とお茶を飲んでいられたわね~と小言を言われました。

日本人のお尻には蒙古斑と言われる緑の痣があります。それを知らない看護婦から家内

は幼児虐待の疑いを掛けられました。幸い日本人を良く知る医者の御蔭で容疑は晴れて

無事退院出来ましたが。

処変われば・・・の言葉の様に海外に出る事は違った習慣などを知る事の出来る良い機

会ですから大いにチャンスを見つけて世界に羽ばたいて欲しいと思います。

保育所問題、なぜ解決に向かわないのかーー小林昌三

2016-04-05

“挑戦するシニア” みなさま へ

新年度がスタート、各地で 入社式・入学式・入省式など盛んに行われている。 若い人々の活気
溢れる時期の到来。 桜花も各地で 満開の便りが届き 素晴らしいシーズンです。

人それぞれ 新たなフレッシュな気持ちで 人生のスタートを切ったことでしょう。

真新しい 制服や背広・スーツなど身にまとって通学・通勤の様子、昔若かりし頃が思い出されます。
TV で 皇居・近辺 桜花の様子が映され、日本の春の光景が 如何に素晴らしいか!観光客の
多く訪れるのも 当然でしょう。

さて、数十年前と この十数年間に変った様子で一番気になるのは 主婦の職場復帰者が激増した事 ではないでしょう か?

大昔は オバアチャン・オジイさんや 親戚の者達が 幼児を預かったり、面倒をみていたが核家族の時代になり、大家族は 最近 殆ど みら れなくなった。

結婚・妊娠・出産後 もし 主婦が 仕事に復帰する場合、『子供施設』 が必須であるのは言を待たない。 そして、この為 保育所・ 託児 所など 探すが なかなか見つからない。あっても満員とか数ヶ月待ちとか 保育士不足で 預かって貰えない等の事情があり、現実に 昨年度 4 万5千人以上の待機児童 がいると 報道されている。

政府や厚労省 がようやく 重い腰を上げだし、各市区町村と 連絡を取り始めたらしい。

商業施設内に 託児所を設けたり、お茶の水女子大と文京区が共同で『こども園』 を開設したり 新たな 取り組みが 始まった。誠に 結構 な 喜ぶべき ニュースである。

ただ、残念ながら これは 氷山の一角の取り組みで、例えば 幼児の面倒を見る 保育士数の不足や 給与が低い等 問題のため、4万 5千 人 待機児童解消までは 行かないらしい。

少子高齢化と人口減少、労働力不足などから 主婦等の職場復帰は 昔と異なり 7割以上で 社会情勢の変化から 当然ではないだろう か?

そこで 是非みなさんに お考え頂きたいのは 安心して幼児を預ける場所をもっと増やして 欲しい 事である。 こう いう問 題は 繰り返し・しつっこく厚労省や市区町村に要望 しないとなかなか
解決・実現 できない。

因みに 東京都・世田谷区だけで 1200人の待機児童が居る 事実を 保坂展人区長が認めて
いながら 具体的解消策を何も発表していない。 こういうスタイル・態度が問題で マスメデイア
等 糾弾すべきでないか?

春爛漫、安心して幼児を預け 気持ちよく お花見を楽しみたいものである。

豪ヒマ人   より

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