11月, 2016年

「生前退位」で際どい意見もーー10月の勉強会報告ーー活発な意見交換

2016-11-07

10月の勉強会報告ーーテーマは「象徴天皇の生前退位」

 10月の勉強会は「象徴天皇の生前退位」をテーマに、25日午後開かれました。最近、「挑戦するシニア」に参加された大濵真理子さんと井上晴美さんが初めて出席なさいました。

 天皇の生前退位については、肯定的な意見が大勢でした。また、「当面、平成天皇の問題だけを対象とする特別措置法で処理するほかあるまいが、それだけではすまない。皇室典範改正の問題にも踏み込まざるをえないだろう。女性宮家創設の問題などを解決しないと、天皇制の存続が危うくなるから」という意見でほぼ一致しました。

 その一方で、「天皇、皇后が災害被災地を視察・激励したり、太平洋戦争の戦跡を巡ったりなさることは評価するが、少しやり過ぎで、それが過労の結果を招いているのではないか」という見方も出されました。「やり過ぎ」については、「平和主義者で、憲法擁護の強い意志を持っている天皇が、憲法改正論者の安倍首相に反発して、意識的にやり過ぎとも見える行動をとっているのではないか」「生前退位の発言もその延長線上にある行動と考えられる」といった際どい発言も出ました。

 「生前退位」に限って言えば、「皇太子妃の体調を考えて、皇太子を早めに天皇即位させて、その活動の足らざる部分を、自らが上皇として補うことを考えているのではないか」という意見が出されました。

 このように、興味ある意見の交換が1時間余り続きましたが、当然のことながら、どうしたらいいかという
結論めいたものは出ませんでした。

 なお、勉強会幹事のが提出した資料は下記の通りです。

 「挑戦するシニア」10月勉強会資料

「象徴天皇と生前退位」

1)これまでの経過
  ◍ 2010年7月22日の参与会議で天皇が生前退位問題を具体的に提起ーー「80歳を目途に譲位し、   上皇となる」
  ◍ その後、参与会でたびたび議論、天皇は強硬。最近1年間は次第に首相官邸主導に。
  ◍ 今年7月 NHKのスクープ
  ◍、同8月8日、天皇の「お言葉」をヴィデオで表明ーーNHKで全国放送
  ◍ 同10月17日、「天皇の公務負担の軽減等に関する有識者会議」が発足、第1回会合を開く

2)有識者会議の論点
  ◍ 憲法における天皇の役割
  ◍ 天皇の公務のあり方
  ◍ 天皇が高齢になった場合、どのように負担を軽減するか
  ◍ 天皇の退位
  ◍ 天皇が退位した場合の身分・地位や活動のあり方
◍ 6人の委員ーー今井敬(経団連名誉会長、座長)、御厨貴(東大名誉教授、座長代理)清家篤(慶応    義塾長)、山内昌之(東大名誉教授)、小幡純子(上智大法科大学院教授)、宮崎緑(千葉商科大教    授)

3)問題処理の方向性と見通し
  ◍ 11月上旬、有識者会議が専門家からのヒアリングを開始
  ◍ 2017年の年明け、論点整理を公表。
  ◍ 2月上旬ごろ、各政党が両院議長の下で協議開始 
  ◍ 春ごろ、有識者会議が政府に提言を提出
  ◍ 5~6月、生前退位を実現するための法案を、政府が国会に提出
  ◍ 2018年めど、政府が退位を想定
  ◍ 2019年1月、(天皇即位30年)

4)立ちはだかる問題点
  ◍ 特例法か恒久法か
  ◍ 皇室の在り方→憲法との関係
  ◍ 政局との絡み
  ◍ 右翼対策

                         (10月20日、早房長治作成)

    (早房の怠慢のため、勉強会報告の掲載が非常に遅れて申し訳けありませんでした)

Copyright(c) 2012 Striving Senior, All Rights Reserved.