8月, 2014年

自衛隊の力で尖閣を守る覚悟と準備をーー守山淳

2014-08-25

小林昌三さんの尖閣列島問題に対するご意見を拝読しました。孫崎氏の最新著書は読んでいないので軽軽のコメントは避けるべきと思いますが「尖閣棚上げ論」は時期を逸したのではないか、と私は思っています。中国も内部では種々問題を抱え南シナ海の騒動とは違い東シナ海での紛争は日本と米国を相手にする丈に一歩間違えば中国から外資が逃げるという事態になります。経済の繁栄で共産党政権の横暴に目を瞑っていり中国庶民が反政府運動=共産党打倒に動く危険性を習主席は一番恐れていると思います。

 問題は世界の態勢、世界観がないのに自国の経済発展で実力以上の自信を持った軍部を政府がコントロール出来るか、という危惧です。丁度戦前の日本が軍部の独走を抑え切れなかった歴史に似ている状態と思っています。そんな中で尖閣棚上げをして納まるか。相手が弱みを見せると傘に掛かって無理難題を持ち出す国民である事は私自身が現役時代に深く中国での商売、JV経営などをした体験からの結論です。彼らは既に「沖縄も元々中国の領土だ」と主張していますしクリントン前国務長官にハワイも中国の領土と言って呆れかえった国ですから。従って日本は尖閣有事は中国側の内部事情で必ず起こるという前提で準備をする必要があると思います。

 日米安保も尖閣有事の際は先ずは日本の自衛隊が出動する事が大前提です。日本が腕を組んで日米安保の対象だからと構えて居れば米国で何故米国の若者の血だけが流れるのだという世論が盛り上がります。その意味で政府は尖閣有事の際は日本国土を守る為に自衛隊を先頭に国の名誉を守ると覚悟を国民に率直に訴えるべきだと思います。

 その意味での周辺法律の整備も急ぐべきだと思います。特に日本には戦死に対する制度がありません。通勤途中で事故死をした公務員に対する補償制度と国の為に銃を持って危険な任務に就く自衛官に対する保障が全く同じである事を御存知でしょうか。安倍政権が行うべき事は大言壮語ではなくこうした地に足の着いた制度を整備し危険に立ち向かう自衛官が後顧の憂いのない体制を早期に確立する事だと思います。

 最後に当然の事ながら相手が暴発しない為の準備、米国、豪州、アセアンなどとの緊密な好関係の確立を急ぎ(この点で安倍総理の動きは的確だと思います)外交努力で最悪の事態を避ける努力を続けるという事ではないでしょうか。単に「尖閣列島棚上げ」だけで問題が解決するとは思いません。その段階は逸したと認識するのが正しいのではないでしょうか。

 

 

日中関係の今後を危惧するーー小林昌三

2014-08-25

みなさん へ

目下 問題になっている集団的自衛権 行使容認、強引に 閣議決定されたのは何故だろうか?
言うまでもなく「尖閣諸島を巡る領有権」問題から でしょう。(無論、北朝鮮・核ミサイル対策もあるが)
現時点では 日本・中国 双方とも、「一線を越えない努力」している(?) ので 何とか ドンパチは始まっていないが……。
中国 国内で益々 格差が大きくなり、國民の不満が たまりに溜まっている。これが 爆発・暴発しない様に 習  近平 主席は 力ずくで押さえ付けている。
その 限界が 近ずくと 恐らく”尖閣諸島に軍部・軍艦など派遣し、中国民の眼を そちらに向ける” 方向に行くのではないか?
「その時、日本はどう動く?」で、集団的自衛権・行使容認 閣議決定となったと私は 解釈・理解している。
小説『外務省』ー副題 尖閣諸島 について (孫崎 亨 著)は 現実に起こりそうな事態を想定し、その回避策の一つとしての「棚上げ提案」で元・外務官僚の経験から 筆をおろした鋭い指摘(と思う)。
アジアの平和と安定が 今後もkeep されれば一番だが、それを乱す・撹乱する要素は 矢張り 中国と北朝鮮ではないか?
そして、隣接する日本として「その時の備え」の為、本来 憲法改正により(とりわけ第9条廃止)、正規の軍隊を持つべき所、憲法解釈を曲げて(?) 個別的自衛権に加え、集団的自衛権 行使する場面を想定せざるを得なかった。
謂わば 「苦し紛れの安倍総理の決断」だったと 私は個人的に見ている。
この 小説「外務省」が 多くの人々に読まれる事 を期待し、この問題を 日本人が真剣に考えるきっかけになってほしい。
これを読んで 何とか チッポケナ島を巡る衝突を避けよう、と言う気持が 日中両国の 政治家や 官僚の諸君 に広まればよいのだが………果して どうか? 二度と 愚かな戦争 などを 起こして欲しくない。 民主党など 反対するだけでなく、 集団的自衛権の 代案があるのか? 具体的に示してもらいたいもの だ。
豪ヒマ人   より
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いま、日本に求められるものーー小林昌三

2014-08-05


“挑戦するシニア” みなさま へ

政党として 選挙で争う最も 基本的で 重要なこと、言うまでも無く『政策』 である。それも確固とした信念や政治哲学 に裏ずけられたもの  でなければならない。
維新と 結いの党が合流したり、みんなの党と某党が くっついたり・・・・次の選挙を目指し、野党の一部が離・結を繰返しているが、このまま では 自民・公明党に対抗できる 勢力には ならないであろう。然も 野党第1党は 今の所、民主党である。
本来 民主党が声をかけて 他の小政党を民主党に合流させ 野党1本化を図る事が 2大政党制を期待する(?)国民の期待に応える道であろ う。 それで 海江田 万里氏の力量・リーダーシップが問われる。 一年前に自ら、党首選挙を 提案しながら、なんだかんだと理由をこじつ け、1年が過ぎてもズルズルと党首に居座る態度は如何なものか? こんな 民主党に 国民は清き一票を投票するだろうか?

自民・公明党に正面から 堂々と立ちはだかる には政策論争を 国民的規模で展開し信を国民に問うべきである。例えば、
① 原発処理問題を含む エネルギー政策 ② 消費増税含む経済政策 ③東北復興含む地方経済の活性化
④ 集団的自衛権を含む防衛問題

外交問題、対外政策も無論 重要であるが、先ずは 国内問題 であり、上記 ①~④ への対応を各党がどの様に 考え、『今後 の日本』 を導いて行こうとするのか、司馬遼太郎ではないが 『この国のかたち、日本の将来像であろう。
安倍総理大臣は 9月内閣大改造をやる、と Brazil,Sao Paulo で発表した。どのように 現在の大臣の椅子をすげ変えるのか? 楽しみで 高みの見物と行きたい。 タダ、世界のあちこちで キ ナナマグサイ紛争 が続いている中、 間違えても 自衛隊派遣などにならぬ様 お願いしたいもの。

要になるのは やはり 官房長官、外務大臣、防衛大臣 の3 ポスト、そして 幹事長 でしょう。となれば、やはり菅 官房長官、岸田外務大 臣、小野寺防衛大臣の 続投させるのが 大所高所からみて妥当ではないか?

対抗する 民主党など 野党は つまらない 誹謗・中傷合戦を 止めて 徹底的な政策論争に 時間とエネルギーを 注いでもらいたいが、みな さん どうお考えに成りますか?

豪ヒマ人 より

今日の日本の課題、私の考え方ーー守山淳

2014-08-01

 

小林様

御提示された課題は相手がある事ですし世界情勢やタイミングの問題がありますね。その意味で種々の意見がある訳ですからどれが正解、という事はないのだろうと思います。頂いたメールの課題で私なりの整理は次の通りです。

1.中国との関係。特に尖閣列島問題。日本が戦争を仕掛ける事はありませんがシーライン確保が絶対的命題の中国ですから中国が何らかの仕掛けをして尖閣を実行支配下に置こうと動く事は覚悟する以外にないと思います。先ずはそうさせない備え。米国を初め豪州やアジア諸国との連携で中国が尖閣で事を起こした時に武力衝突も含め失う物が大きいと思わせる事だと思います。習主席が韓国を訪問したのも米日韓の連携を分断する狙いです。その意味で彼らが嫌がる関係各国の強固な連携特に米国をして尖閣有事の際は確実に米軍の出動があると思わせる日米の連携。自国の領土は自国の力で守るという国家の基本を確りと発信し有事の際に真っ先に自衛隊が出動、それに米軍が支援する体制を確立する事。有事の後に国内で異論・反論などする余地のない様な備えが重要だと思います。

経済の不安定さを内在する中国に取り東シナ海で日米両軍との具体的軍事衝突が起れば第三次世界大戦の可能性もありとして中国進出の外資が引く可能性は強くそうなれば中国は経済面から崩壊します。習主席はその辺りの事は理解していると思いますが増長せる軍部をどこまで抑えられるかは不安定だと思いますので先ずは備える事が緊急の課題だと思います。

2.韓国との関係:ご指摘の通りタカリの国ですから変な譲歩は不要です。曾野綾子女史ではありませんが隣国であるから色々とトラブルが起こる。隣国と仲良くせねばならぬ、と考えるのはい日本位だと思います。集団的自衛権の容認に反対する韓国ですがこれは韓国有事の際には日本の自衛隊の米軍と共に出動する事を容認するという意味です。それに反対する韓国は気違いです。韓国が今の対応をする限り「朝鮮半島有事の際も日本は支援しないし在日米軍の出動も事前協議でNOという可能性もある」と韓国国民に伝わる形で発信したら良いと思います。朝鮮動乱は何か、と言えば中国やロシアに支援された北朝鮮の進行でした。今の朴政権はその中国と接近しその前の第二次大戦での恨みで日本を非難している。誠に不思議な国ですが敢えて日本側がスタンスを変えてまで友好回復に動く必要は無いと思います。その意味で目立ちかりやの升添都知事の韓国訪問は相手を強気にさせる丈の無駄な動きだと思います。

3.北方領土: ソ連邦が窮地に陥った時に北方4島が返還されるチャンスはありました。その時に日本の世論は4島一括返還を絶対条件にした為に未だに北方領土問題は解決しません。2島先行返還に的を絞ればチャンスがあると思います。ウクライナ問題で欧米から締め出しを食らったロシアを救ったのは中国です。しかしシベリア問題を抱え基本的には中露の関係は良くありません。プーチンは日本のシベリア開発での支援や欧州に閉ざされた天然ガスの対日輸出には前向きです。領土問題はこうした苦難に陥っている時に経済の面で協力し100%返還をごり押ししなければ解決の機会はあります。この柔軟性の無さが未だに未解決にしている事を教訓にすれば良いと思います。

4.日米同盟の見直しは必要だと思いますが今ではないと思います。理由は上記の中国との関係です。オスプレーの配置に反対する声が多いですがこれは離島有事の有効な移動手段です。尖閣有事を視野に米軍が配置をしています。そうした報道が殆どないので中国は喜んでいるでしょう。沖縄知事選は

の容認自民は敗退するのでは、と思います。それは基地反対と同時に安倍政権の集団的自衛権に対する荒っぽい手法に対する不安感です。セクハラ発言での自民の対応も含め奢る自民党と言う日本国民の妙なバランス感覚で自民党にお灸を、という結果になるのではと思います。オスプレーの岩国・横田移動も選挙目当ての小手先・メクラマシと見抜かれている処にも政権の緻密さの欠如が目立ちます。

  米軍基地に反対して米軍が引き上げたフィリピンがその後、どうなったかといえば中国の力による不法占拠です。沖縄の基地も距離的関係から沖縄に集中せざるを得ない戦略的必要性があり実に悩まし い問題です。

5.北朝鮮:どんなに銭を払っても日本国民を救出するのは国家の役割です。中国に見放されている北朝鮮ですから丁度上記の北方領土問題が前進できるチャンスを逸した事を教訓に強かに一人でも多くの人質を取り返す事を最優先にすべきだろうと思います。シンボルである横田めぐいさんがその中に含まれているか否かが大きな評価の分かれ目になるのではないか、とも思います。

 北朝鮮経済制裁の解除に対する他国の不満は結構多いと思います。唯、人道的な拉致問題の解決にはこの解除に正面から反対出来ないという事でしょう。その意味で夫々の問題はご指摘の通り相手側の正確な情報入手と分析、そして国際世論を味方に付ける発信が必要だと思います。丁寧な説明をすれば分かって呉れる常に発言する安倍総理ですが実は丁寧な説明をしていない為に誤解を呼ぶ事が多いだけに選挙向けのPRを意識したパフォーマンスは逆に極めて危険だと思います。

 

 

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    淳 経営コンサルタント オフィス J.M.代表
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From: Shozo Kobayashi [mailto:bluewind1@bigpond.com]
Sent: Wednesday, July 30, 2014 7:20 PM
To: ‘Shozo Kobayashi’; 早房 長治; Ryozaburo Hasegawa; Takayuki Takizawa; 入江邦雄; 安原; jun moriyama; 瀬名 敏夫; ‘karita yoshio’
Subject: Re : 日本が直面する 現下の課題 -2-

 

早房 長治  さま
“挑戦するシニア” みなさま へ

日本と 海外諸国との 諸懸案事項。 日本は 世界の国々に 日本人が日頃 考えていること、平和主義を貫くと主張する 安倍総理の 考えな ど 正しく 理解されているだろうか?
また at random に 書き連ねてみます。

1. 中国との関係 -尖閣列島、歴史認識問題、衝突をさけるには どうするのが良いのか?米国頼りは無理。

1.  韓国とは ? 従軍慰安婦問題を誇大に喧伝し、日本から多額の補償金(?) をせしめようとしているの       では? 非常識な考えで 問題をふくらまし、さも 日本が韓国女性の人権を侵害した 如く主張する         あの  ヘンな 女大統領。 下手な譲歩は 絶対にすべきでない! 河野・村山談話など 両国の 専門家      に検証させるべきではないか?  歴史認識問題の 大きな隔たりは どう決着するのか?

1. ロシアとの 北方領土問題。前回も書いたが、私見では ロシアは絶対に北方領土は返還しない と思う。
今回の ウクライナにて MH-17 Malaysia Airミサイル撃墜事件で、対応を見る通り。欧米の制裁        sannction で相当 経済等に 打撃がある筈だが、妥協せず むしろ 強気の態度に 出ている。
日本に対しても クレームをつけているロシア。 さて、外務省は どう 交渉に臨む つもりか?

1. 対米外交: 日米安保条約 見直し時期ではないか? また、オキナワ基地 問題もその後 進展なし。11     月 オキナワ知 事選挙で 現職仲居真 知事が再選される 保証はない! 辺野古移転案は どうなる       の?
1. 北朝鮮・拉致被害者 返還交渉。果たして 何人の拉致被害者が 戻されるか? リストは完成していると      か 噂されてい るが、果たして 本気で 生きたまま 何名が 無事に帰国 できるか? 裏で 大金が動       く?

当面 ざっと 上記 懸案事項 を 何とか歩を前に進めること 。それには 安倍総理が 自ら 行動を起こすこと。
また、 上記に関する up-to-date で 正確な情報入手が 欠かせない。

日本国民の生命と財産を保全する と 先の 集団自衛権行使 容認、閣議決定時に 安倍総理自ら 述べた様に 本気で やって欲しいものであ る。

豪ヒマ人  より

今日の日本の課題ーー小林昌三

2014-08-01


“挑戦するシニア” みなさま へ

日本と 海外諸国との 諸懸案事項。 日本は 世界の国々に 日本人が日頃 考えていること、平和主義を貫くと主張する 安倍総理の 考えな ど 正しく 理解されているだろうか?
また at random に 書き連ねてみます。

1. 中国との関係 -尖閣列島、歴史認識問題、衝突をさけるには どうするのが良いのか?米国頼りは無理。

1.  韓国とは ? 従軍慰安婦問題を誇大に喧伝し、日本から多額の補償金(?) をせしめようとしているの       では? 非常識な考えで 問題をふくらまし、さも 日本が韓国女性の人権を侵害した 如く主張する         あの  ヘンな 女大統領。 下手な譲歩は 絶対にすべきでない! 河野・村山談話など 両国の 専門家      に検証させるべきではないか?  歴史認識問題の 大きな隔たりは どう決着するのか?

1. ロシアとの 北方領土問題。前回も書いたが、私見では ロシアは絶対に北方領土は返還しない と思う。
今回の ウクライナにて MH-17 Malaysia Airミサイル撃墜事件で、対応を見る通り。欧米の制裁        sannction で相当 経済等に 打撃がある筈だが、妥協せず むしろ 強気の態度に 出ている。
日本に対しても クレームをつけているロシア。 さて、外務省は どう 交渉に臨む つもりか?

1. 対米外交: 日米安保条約 見直し時期ではないか? また、オキナワ基地 問題もその後 進展なし。11     月 オキナワ知 事選挙で 現職仲居真 知事が再選される 保証はない! 辺野古移転案は どうなる       の?
1. 北朝鮮・拉致被害者 返還交渉。果たして 何人の拉致被害者が 戻されるか? リストは完成していると      か 噂されてい るが、果たして 本気で 生きたまま 何名が 無事に帰国 できるか? 裏で 大金が動       く?

当面 ざっと 上記 懸案事項 を 何とか歩を前に進めること 。それには 安倍総理が 自ら 行動を起こすこと。
また、 上記に関する up-to-date で 正確な情報入手が 欠かせない。

日本国民の生命と財産を保全する と 先の 集団自衛権行使 容認、閣議決定時に 安倍総理自ら 述べた様に 本気で やって欲しいものであ る。

豪ヒマ人  より

安倍政権の内外政策に数々の疑問ーー守山淳

2014-08-01

二次世界大戦前の覇権国家は英国でした。それが戦後米国に取って変わられました。今その米国に取って変わる覇権国家を目指して中国は地球儀的視野から経済面での連携を全面に打ち出した緻密な戦略を着実に進めています。13億人の民を背景にした中国の市場は経済に苦しむ欧米には極めて魅力的であるのか中国の人権問題などには目を背けて中国に取り込まれています。リーマン以降凋落するアメリカを意識し「ドルの基軸通貨」から「人民元を機軸通貨」を狙っての手も打ちました。

7月15日にブラジルで開かれたBRICS(中露印伯南ア)サミットで「BRICS開発銀行」の設立が決まりました。本社は上海。初代総裁はインドですがこのBIRICS開発銀行の狙いは2つ。1つは欧米主導のIMFに対抗する為。IMFは1998年のアジア通貨危機での対応に象徴される様に米英の投機筋が国債や為替の先物市場で金融を崩壊させた新興諸国に対してIMFが救済に入り救済の見返りに更なる経済を疲弊させる厳しい緊縮財政や国営企業や国有資産を民営化する事を求め結果として米欧企業が買収できる状況にして新興諸国の成長や安定を阻害する「ワシントン・コンセンサス」と呼ばれる「弱い者いじめ」を行って来ました。故にIMFは新興諸国の間で恐れられ嫌われて来ました。従来は金融危機に直面するとIMFしか頼る先がなかったのが今回は解消される事に成ります。当初はBRICSのみ対象ですが将来は他の発展途上諸国や新興市場諸国の加盟も認めるという構想です。BRICSだけ現在世界のGDP総額の4割を占めていますから他の途上諸国が加盟すれば世界の主導権を握る事も可能です。日本は米国に次ぐIMFの出資国ですが米英に従属してIMFの新植民地主義に対して見て見ぬふりをしてきました。

BRICSの中で最も世界に進出しているのは中国企業で各地の途上諸国で日用品の売り込みやインフラ事業の経営、石油ガス・鉱物資源の開発、武器販売などを急拡大しています。アフリカ大陸では「北風と太陽」の手法でそれまでアフリカを支配してきた米欧勢を押しのける事に成功して

います。中国はアフリカで嫌われている面もありますが米欧も中国に劣らず嫌われています。日本は条件をつけないので好かれいますが米国が了承した範囲でしか動かないのが実態です。

つ目は人民元を世界の基軸通貨にする狙いです。この経済の拡大に中国は決済通貨として米ドルではなく人民元を要請しています。BRICSは新設の開発銀行の機能の一部として各国の中央銀行同士が自国通貨を交換・スワップする制度を確立しそれで貿易代金の決済が出来る様にしました。

正に基軸通貨が米ドルから人民元に向かう布石です。各国が貿易で儲けた資金がドル建てで米国債を買って運用せざるを得なかった今の状況が終わり米国債の売れ行きが悪化し米国の金利上昇のお

それが出ます。リーマンショック後、基軸通貨のドルの終わりが米欧の政界やマスコミで語られましたが今回のBRICSの多国間スワップ制度は既にいくつかの2国間で開始されており事実上ユーロも参加しています。EUの3大国であるドイツ、フランス、英国はいずれも最近中国と協議して人民元とユーロやポンドを交換する決済所を創設しました。フランスは米国がBNPパリバ銀行に対する嫌がらせの巨額罰金を科した報復として貿易のドル決済を減らしてユーロ決済を増やすと表明しています。ドイツもスパイ事件で米国への信頼を失いドイツ政府内に未だに米国のスパイを探す策を強めています。NATOの同盟関係は崩壊しつつあります。

中国は更に世界銀行のアジア地域版ともいうべきアジア開発銀行(ADB)に取って代われる「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)を設立する計画を進めています。ADBは歴代日本人が総裁ですが米国15・7%、日本15・6%という出資比率(決定権比率)に対し中国には5・5%の出資比率しか与えられておらずこれに不満の中国が自前の国際開発銀行の創設を目指し「西域」「シルクロード」として歴史的な影響圏とみなす中央アジアや西アジア諸国のインフラ整備に援助して傘下に入れるために創設する中国の地域覇権拡大のための国際機関と言えます。中国は中央アジアやイラン、パキスタン、アフガニスタン方面への「陸のシルクロード」だけでなくミャンマーやバングラディシュ、スリランカ、モルジブなどインド洋に面した諸国を経済支援して傘下に入れる「海のシルクロード」の構想も進めておりこれもAIIBの投資対象になります。

今年3月の習近平の欧州訪歴から中国は「シルクロードを貿易路として再開発する」と盛んに言い出しました。中国と欧州の貿易をシルクロード経由の鉄道や航路でつなごうとEU側を誘っており、これはEUに中国が中央アジアや西アジアを傘下に入れて開発することを認めさせようとする動きであると同時にウクライナ危機で険悪になったEUとロシアの関係を中国が取り持ちBRICSの仲間であるロシアを助ける意味もあります。5月にロシアのプーチンが中国を訪問した際にはアジア諸国で対米従属的でない地域安全保障の枠組みを作ることをめざす「アジア相互協力信頼醸成会議」CICAが上海で開かれました。7月には習近平が韓国を初めて訪問。その時に韓国との貿易における人民元と韓国ウォンの決済を増やし中韓貿易におけるドル決済の比率を下げることを韓国政府と合意しました。中国はいずれ自国の影響圏に戻そうと考えている朝鮮半島から在韓米軍を撤退させるのが長期的な目標でありその意味で中国が対北戦略で韓国を引っぱり込もうとするのは韓国を対米従属から引き剥がそうとする策略だと言えます。

更に最近報道された南米アルゼンチンの経済危機に中国は多額の援助を約束し南米も取り込む動きをしています。

 人民元は基軸通貨になれるかと言えば世界の外貨準備高の64%が米ドルであり貿易決済の80%が米ドルである現状が簡単に崩れるとは思えません。しかし人民元が徐々に存在感を示す方向になる可能性は大だと言えます。中国が覇権国家に成れるかという問題は中国が内部に抱える種々の問題に加え共産党一党独裁体制である限り世界の覇権国に成れる要件は無いと思います。それでも中国は世界のリーダ―になるべく上記の通り戦略的手を打って影響力を高めています。

それに対する日本の戦略は・・、と言えば規制緩和の「第三の矢」も掛け声倒れで「xx委員会」の乱立という現状である処に不安感ありです。

 さて以下は著名なエコノミスト、リチャード・クー氏の最近の報告書です。

 ポルトガルの銀行BESの問題が表面化してユーロやユーロ周辺国の株価が下がり暫く沈静化していたユーロ圏の銀行問題が再度注目されました。リーマン以降の欧米の銀行は決済システムを担う為の自行の資金調達問題とバブル崩壊の影響を受けた借り手への融資が回収不能になり銀行の財務内容が悪化する問題を抱えています。結果、銀行間のインターバンク市場が機能せずに金融危機の連鎖が起こる可能性がありますがそれを防ぐのが中央銀行です。ユーロ危機の際もドラギECB総裁が資金供給策を打ち出し域内の銀行の資金調達問題を解消に成功しました。多くの銀行が同じ問題を抱えた時は不良債権の買い手が激減しているので不良債権処理はゆっくり時間を掛けて処理する必要があります。

その時必要なのは09年以降米国が採用した「だましだまし融資を続ける」政策でありバランスシート不況下で景気を良くする為の財政出動です。しかし今のユーロ圏はこの二つの必要な政策を打つ可能性は低く銀行間の問題は今後も尾を引くと思われます。

先月発表された国際決済銀行(BIS)の年報では主要国の金融当局は市場が想定しているよりも早く金融政策の正常化に動くべしと主張しています。この年報で『主要国の景気低迷はバランスシート不況である」と明言しており15年前にバランスシート不況という言葉と概念を作りこの不況下では金融政策は効かないと主張してきた私としては15年を経てようやく認められたという印象です。

中央銀行が警告を発信し続けても回避出来なかったのが中南米債務危機でした。米銀は『企業は潰れても国に潰れない」との理由で警告を無視して79年から危機が発生した82年まで融資を倍増しています。グリーンスパーン元FRB議長もITバブルは根拠なき熱狂と呼んで置きながらFRBが管理できる株のマージン比率をITバブル期に敢えて引き上げず拡大を許した間違いを起こしています。その意味でどんな規制を強化しても最後は人間の判断が大きくこれを間違えれば問題は回避出来ません。現時点で規制強化に走っている人達の殆どはリーマン前にも同じ地位にいて危機発生を許した人達です。普通はこの危機を予想出来なかった人達は退場して貰い予測した人達に金融行政の主導権を持ってもらうべきですが現実は殆どそうなっていません。今回のグローバル金融危機が発生する前までは居眠りしていた人達が今はがむしゃらに規制強化を訴えれおり安易な規制強化は金融システムの健全化にマイナスになる可能性もあり要注意です。

 このBISの問題提起で特に気になるのは日銀です。BIS年報がバランスシート不況下での金融政策の効果が少ない事を認めていながら日本では依然としてその事実を認めずこれまでの経済の低迷は日銀の2000年と06年の時期尚早の金融引き締めだという意見が幅を利かせています。この先鋒にいるのが黒田総裁と岩田副総裁で金融緩和で株価が80%上昇、円も30%下がる結果に自信満々で今やこの二人に盾付く事は次に日本の景気がおかしくなったら自分達の責任にされるという恐怖から本音は別に取敢えず二人の言う通りに行動するしかないとの発想に成っている節があります。これはBISの要請せる早目の金融正常化がず~と遅れる可能性が高いと言う事で実際に黒田総裁はインフレが2%に達成するまで政策を変えないと言い続けています。更なる消費税引き上げを前に日銀が景気を冷やしたと批判されかねない量的緩和の解除は可能性が低いと云えます。

これはFRBが僅か1.1%のインフレ率で政策転換をするのと対照的です。日銀の対応遅れのリスクはGDPの7.5%、36兆円になります。日銀のインフレ問題が後手であると認識され長期金利が急騰したら国債発行コストも大幅に増加する危険性があります。

今回のBIS警告を日本政府と日銀は誰れよりも真剣に受け止める必要があると言えます。

 

以上です。過去に市場の変化を的確に言い当てて来たクー氏の警告です。黒田日銀の強気政策の危

うさを感じるのは私だけでしょうか。

 

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  守山  経営コンサルタント オフィス J.M. 代表   

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