自衛隊の力で尖閣を守る覚悟と準備をーー守山淳

2014-08-25

小林昌三さんの尖閣列島問題に対するご意見を拝読しました。孫崎氏の最新著書は読んでいないので軽軽のコメントは避けるべきと思いますが「尖閣棚上げ論」は時期を逸したのではないか、と私は思っています。中国も内部では種々問題を抱え南シナ海の騒動とは違い東シナ海での紛争は日本と米国を相手にする丈に一歩間違えば中国から外資が逃げるという事態になります。経済の繁栄で共産党政権の横暴に目を瞑っていり中国庶民が反政府運動=共産党打倒に動く危険性を習主席は一番恐れていると思います。

 問題は世界の態勢、世界観がないのに自国の経済発展で実力以上の自信を持った軍部を政府がコントロール出来るか、という危惧です。丁度戦前の日本が軍部の独走を抑え切れなかった歴史に似ている状態と思っています。そんな中で尖閣棚上げをして納まるか。相手が弱みを見せると傘に掛かって無理難題を持ち出す国民である事は私自身が現役時代に深く中国での商売、JV経営などをした体験からの結論です。彼らは既に「沖縄も元々中国の領土だ」と主張していますしクリントン前国務長官にハワイも中国の領土と言って呆れかえった国ですから。従って日本は尖閣有事は中国側の内部事情で必ず起こるという前提で準備をする必要があると思います。

 日米安保も尖閣有事の際は先ずは日本の自衛隊が出動する事が大前提です。日本が腕を組んで日米安保の対象だからと構えて居れば米国で何故米国の若者の血だけが流れるのだという世論が盛り上がります。その意味で政府は尖閣有事の際は日本国土を守る為に自衛隊を先頭に国の名誉を守ると覚悟を国民に率直に訴えるべきだと思います。

 その意味での周辺法律の整備も急ぐべきだと思います。特に日本には戦死に対する制度がありません。通勤途中で事故死をした公務員に対する補償制度と国の為に銃を持って危険な任務に就く自衛官に対する保障が全く同じである事を御存知でしょうか。安倍政権が行うべき事は大言壮語ではなくこうした地に足の着いた制度を整備し危険に立ち向かう自衛官が後顧の憂いのない体制を早期に確立する事だと思います。

 最後に当然の事ながら相手が暴発しない為の準備、米国、豪州、アセアンなどとの緊密な好関係の確立を急ぎ(この点で安倍総理の動きは的確だと思います)外交努力で最悪の事態を避ける努力を続けるという事ではないでしょうか。単に「尖閣列島棚上げ」だけで問題が解決するとは思いません。その段階は逸したと認識するのが正しいのではないでしょうか。

 

 

コメント1件

  • hayabusa | 2014.08.25 17:43

    中国の外交が国内事情で揺れ動くことも、力任せの傾向のあることも確かでしょう。しかし、少なくとも習近平政権(人民解放軍でなく)は尖閣問題で日本との軍事衝突を回避するのではないでしょうか。それは、日中が軍事衝突した場合の中国の経済社会に対する打撃は甚大であることを習近平政権が理解しているからです。

    中国経済への打撃は日中間の貿易、金融関係に止まりません。中国とアセアンとの経済関係にも影響する恐れがあります。また、中国は日本から環境技術を導入し、福祉をはじめとする、様々な社会制度を学ぼうとしていますが、それらも不可能になります。

    共産党政権を守るために、領土問題もナショナリズムも重要ですが、それを重視すれば政権を守れるというほど単純なものでないことは、守山さんもご理解の通りです。それに、中国は対日関係より対米関係を重視しています。米国が日中の軍事衝突を望んでいないことは明白です。

    いろいろの要素を勘案してみると、日中双方とも、妥協の道を探るほかないのだと考えます。尖閣問題についていえば、先送り論も依然として選択肢の1つではないでしょうか。また、自衛の強化を図るのは当然ですが、一方で外交努力の実質的な強化も図らなくてはなりません。(早房長治)

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