韓国のウオン高介入を責める米国 AIIB加盟のしっぺ返し?--守山 淳
輸出不振で経済が低迷する中、ウォン高阻止のため先進国はもちろん新興国でもやらないような巨額介入を
秘密裏に行ったと指摘し朴槿恵政権による対日本円でのウォン高対策も批判しました。日本の円安が容認さ
れる一方、為替介入で悪名高い中国よりも強いトーンで指弾されるなどさらし者になった韓国ではアジアイ
ンフラ投資銀行(AIIB)をめぐる米国の意趣返しとの陰謀論まで出るなど動揺を隠せない様です。
報告書は米財務省が議会向けに半年に一度提出しているもので各国の経済状況や為替政策について言及して
いますがこれまでの報告書で毎回やり玉に上がるのは中国でした。今回も制裁の対象となる「為替操作国」
への認定こそ見送りましたが人民元が「著しく過小評価されている」との見解を維持しています。ただ今回
の報告書で中国よりも厳しく批判されたのが韓国です。韓国に関する項目では、「韓国は公式には市場で為
替レートを決めている」「2013年2月には他のG20(20カ国・地域)諸国と同様に為替レートをタ
ーゲットとした意図的な通貨切り下げ競争はしないことを約束した」と前置きしたうえで実際には韓国当局
がウォン高を阻止する形で為替介入を行っていると指摘。要はアメリカ財務省は「韓国はウソをついた」と
批難しています。しかし「為替介入」はどこの国でもやってます。「他の大半の主要な新興国市場や先進国
経済と異なり韓国は為替介入について公式な報告を行っていない」と厳しい表現で隠蔽体質を批判しました。
2014年夏に大規模な介入を実施、同年8月から11月までは小康状態だったがウォン高圧力が強まった
12月から今年1月にかけて再び介入規模が拡大したと分析。1ドル=1000ウォン突破に近づくと介入
するという傾向も指摘、今回の報告書では月ごとの介入額を推定したグラフまで作成する念の入れようで韓
国のやり口が腹に据えかねている様子が伺える。対ドルだけでなく対日本円でも朴政権の当局者が昨年11
月ウォンを安くするよう意図したことも明記するなど批判は詳細かつ具体的でウォン安維持のための介入を
やめるようと厳しい要求を行いました。
韓国と日本の製品は競合する事が多く品質はほとんどの場合日本の方がよいと言えます。しかし韓国が躍進
できたのは円高で日本製品が高かくで相対的にウォン安で韓国製品は安かったからで」。処がアベノミクス
の金融緩和で円安が進み世界市場で日本製品が安くなりました。そこで世界の市場は「あまり値段が変わら
ないのなら日本製品の方が良い」となり韓国製品が売れなくなりました。韓国政府は「韓国製品を更に安く
し競争力を保つため」にこっそり為替介入しました。「ウォンを安く保つこと」は韓国企業にとって死活問
題という事でしょう。アメリカはそんな韓国の事情を知り尽くした上でウォン安維持のための介入をやめる
よう徹底した要求を行った訳です。これは言い換えれば「韓国経済がこのまま破滅しても構わない」という
メッセージとも言えます。アメリカは日本に対しては量的緩和の結果として円安が進んだことに言及したも
のの批判的なニュアンスはなく消費増税など緊縮財政策を批判し景気拡大を求めただけでした。同様に量的
緩和を行ってユーロ安が進んだ欧州への批判もありませんでした。日本と欧州には優しく韓国にだけ厳しい
結果となりました。これが韓国内で「AIIBに入って中国側についたことへの復讐だ」という見方の背景
です。断言はできませんがその可能性は十分にあると思います。
政治・外交の世界は常に建前と本音を使い分けます。「アメリカはすべての独裁に反対だ」といいながら
「絶対君主制」のサウジアラビアと仲良しです。イスラエルの核兵器を黙認しつつ一方でイランの核開発に
反対しています。韓国がAIIB問題が原因で苛められながら?欧州諸国も中国には寛容です。何故なのか、
と言えば欧州諸国はアメリカと一緒に「対ロシア制裁」に参加。欧州をいじめてロシア側に寝返られたら困
るのでしょう。中国は世界2位の大国ですから「トータルな戦略構築」が求めざるを得ない国と言えます。
その点で韓国は「米財務省の意向で崩壊させることができる」国と位置付けられたと思います。
結局世界の外交の世界では反発をされたら困る国になる事が自国の国益を守るには必要という現実だと言え
ます。日本がバブル時代に世界から注目された通り矢張りアベノミクスが成功して金余りでの投資による株
高ではなく本当の意味で足腰の強い経済基盤の構築による経済再生が世界で存在感を示し他国から苛められ
ない道だとも思います。
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守山 淳 経営コンサルタント オフィス J.M. 代表
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