「なぜヒラリー・クリントンを大統領にしないのか」を推薦するーー小林昌三

2015-12-08

NY在住 ジャーナリスト 佐藤則男氏が 講談社新書 『なぜ ヒラリー・クリントンを 大統領にしないか?』 (880円+税)  を著 し、発売。 好評である。

米35代大統領 JFK に憧れ 渡米、40年を NY で過ごしている。『世界一強い男』 に興味を持ち
アメリカの直面する 諸問題を 大統領選を通じ学び 日本の友人等に NY Report &エッセイ を毎週書き、 11 年間も 送信し続けている、大変な エネルギーであり、情報収集力である。

この40年間、佐藤氏は ジャーナリストとして アメリカの有識者や政治家・ビジネスマン 等に接し、インタヴィュー したり、日本 派遣 のマスメデイア関係者とは 違った角度で米国の内情を分析しながら リポートしている。

この 著書は いわば その 集大成であり、2016年11月の ポスト Obama 大統領に誰が 選挙で就任するのか? を ヒ ラ リー・クリントン女史の選挙活動など詳細に分析しながら 書いたもの。

一見 Hiraly Clington 批判とも 見えるが、過去 数代に亘る 米大統領選挙が如何に 熾烈極め、候補者同士の中傷合戦や 資金がかかり、また ストラテジス ト(戦略家)が活躍する場であるか、マスメデイアが 余り頼りにならず マチガイを犯すか 等々 真正面から切り込んでいる。

小生も 在京米国大使館勤務時(1983~1988年) マイク・マンスフィールド大使のもと、『米国の持つ権限と絶大な影響力』  をつ ぶさに観察してきた。当時 レーガン大統領であり 日本は中曽根康弘首相 ・・・・ ロン・ヤス関係で 日米関係は 一見 良好に見えた 頃である。

ところが、実際は 農産物自由化問題・オレンジ・牛ブタ肉 関税撤廃問題あり、関西空港が建設される前で 米国側からベクテル社など  入 札に参加させよ 等の プレッシャーもワシントンから指令が出され、大使の指示で 建設省・運輸省(当時)に赴き、情報収集と交渉に明け 暮れしていた。

勿論、日米同盟あり 日米安保条約に基く 日米関係を周到に配慮した上での ワシントンからの
suggestion であり 「絶対的なもの」 ではなかったが・・・・日本の霞が関官僚との交渉は いつも
難航したものである。 また アメリカ製品を もっと 日本が 輸入量を増やすキャンペーンBoutique America 等開催し、JETRO 等のご協力を得て 米国製品の PR にも熱心だった。

米国産 オレンジやトマト、また 牛豚肉を少しでも多く 日本の業者に買ってもらいコンシューマーに提供したい・・・と米商務省や  業界 団体からの圧力があり、マンスフィールド大使(元・米議会院内総務)は 高齢にもかかわらず、相当ご苦労されていた。

この『なぜ ヒラリー・クリントンを大統領にしないか?』 を拝読して、米国大統領になるプロセスで
如何に多くの 駆け引きや、プレッシャー、マスメデイアの実態、勝利への 内幕が 暴露されている。大変 興味深く 勉強になる分析 とリ ポートのまとめである。一人でも 多くの日本人に読んで欲しい。
講談社の カバー表紙(帯)は アメリカの国旗にクリントン女史の横顔で 好感がもて、文章も平易で 読みやすく 中・高生が 読ん でも 理解できる内容である。

ここまで アメリカ大統領選挙の 実態をあばいた本は、これまで なかったのではないか?

外務省・外務官僚など 部分的には この中に書かれている事実は当然 理解・把握していても、では 日本の対米外交に 的確に生か し、官 邸や外務大臣・総理大臣に 報告してきたか? 又、マスメデイア、例えば 手嶋 龍一氏や 孫崎 亨 氏のような 通称 米国通の プロ による著書・論調にも 書かれてこなかったのではないか?

2016年11月6日 米大統領選まで 一年をきった・・・・民主・共和党 どちらの党の候補・選出者が
次期大統領になるか 世界は 注目しながら 眺めている。

是非、一読し 米国への更なる 理解を深めて貰いたいものである。

豪ヒマ人   より

コメント1件

  • 早房長治 | 2015.12.08 2:03

    私も佐藤則男さんの本を読み進んでいます。非常に興味ある著書です。米国に駐在する日本人ジャーナリストは多数いますが、せいぜい4~5年の滞在では、これほど深いものは書けないでしょう。

    第6章に、大統領選におけるネガテイブ・キャンペーンのことを紹介していますが、これだけでも日本の政治との違いが分かります。両国の政治の違いを理解しないままに日米関係を議論している我々のあさはかさに、改めて気付かされました。(早房長治)

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