靖国神社とは何?

2015-09-03

今年の戦記念日も閣僚、政治家の靖国参拝をマスコミが報道しました。参拝された皆

さんは「国の為に命を捧げた先人に感謝の意を表し不戦の誓いをしました」と応えてい

ます。この時期になると中国、韓国が同じ批難を出し最近は米国も批判的反応です。

国の為に命を捧げた先人の霊に感謝の意を表するのはどの国でも当たり前の事です。

むしろその感謝を表さない国、国民は滅亡すると思います。

靖国神社の話しに成ると必ずと出て来るA級戦犯合祀。安倍総理は必ず最初に「いわ

ゆる」A級戦犯と言います。それは昭和31年にA、B、C級戦犯は存在しない決定を

したからです。これは日本が勝手に行った訳ではなくサンフランシスコ平和条約11条

2項により日本の申し立てに対し条約当事国の過半数の同意を得て決定したものです。

当時の日本の人口8千万人の半分にあたる4千万人がそのための署名をしています。

朝鮮戦争が継続する中1952年4月28日、サンフランシスコ講和条約が発効されま

した。その第11条は非常に特殊なもので通常の場合講和条約締結後は国家間における

それ以前の問題は全てなかったことになりますがこの第11条において「東京裁判にお

いて下された判決を日本政府は講和条約締結後も継続する(28人に対する法廷が課し

た刑を執行)」という異例の条項が付きました。この条項は当時の国際常識に反する異

例なことでそれを無効とする条件も同時に記されました。「日本政府が発議して東京裁

判に関係した過半数の国が同意すれば判決を変えてもいい」という趣旨の一節が11条

に加えられました。

1952年6月9日の参議院本会議に「戦犯在所者の釈放等に関する決議」が提出され

全員一致で可決され1955年7月19日の衆議院本会議で「戦争受刑者の即時釈放要

請に関する決議」がなされました。これを受けて戦争犯罪人の釈放要求が日本政府から

提出され関係諸国(11か国)の過半数の賛成を得て1956に収監されていたA級戦

犯が全員釈放されました(7人は絞首刑により既に他界)。

この様にSF講和条約の第11条により関係諸国の承認を得てA級戦犯の名誉が回復さ

れた訳で対外的にも対内的にも正式な手続きを経てA級戦犯なる存在は法的に無くなっ

ています。それが「いわゆる」を付す背景であり「いわゆる」を付さない中国、韓国更

に日本のマスコミ報道は歴史的事実に不誠実だと言えます。

「日本政府がA級戦犯を祭る靖国神社に参拝することは悪魔・日本の侵略戦争を正当化

する行為であり断固として認められない」とする中国や韓国はSF講和条約を忠実に履

行して戦犯の名誉を回復した歴史的事実を全く理解していない発信という事になります。

日本政府もこの事実を世界に向けて明確に発信して中国、韓国こそ正しい歴史認識を持

つべきだと反論する事が必要だと思います。

同時に法律的視点と道義的視点は自ずから違うと言えます。特に問題となる靖国神社

にいわゆるA級戦犯が合祀された後に昭和天皇が参拝をしなくなりました。現天皇陛下

も行かれません。昭和天皇の詠まれた句「靖国の 名に背き 祭つれる神々を 思えば

うれひの ふかくもあるか」。今年発表された昭和天皇史にはご自身の意向、希望を裏

切り戦線拡大に走った戦争指導者への昭和天皇の苦悩が記されています。

安部総理始め靖国神社参拝を続ける政治家はこの昭和天皇が靖国参拝中止をどの様に理

解した上で靖国神社参拝をするのかの理由を開陳する事も必要ではないかと思います。

更にA級戦犯合祀は日本人の心情としては理解できとしても中国・韓国にはとても納得

できないできないでしょうし意を尽くしても理解をしてもらうことは不可能でしょう。

日本人は明確に発言しないだけでなく国際的に重要な案件もその国際的反応を熟慮検討

することなく決めてしまう特性も持っています。その意味で松平宮司は本当に罪深い事

をしたと思います。

更に言えば靖国神社には赤紙一枚で愛する家族を残し戦地に送られ命を落とした大勢の

国民犠牲者が祭られています。その犠牲者と指揮官として多くの部下を死なせた戦争リ

ーダーが同じ犠牲者として埋葬されている事に私は違和感を感じます。特に戦況が厳し

くなる中で決行された特攻隊など人間の命を粗末にした戦術を企画、遂行した軍幹部の

責任は重いと思います。その意味で法律問題とは別にA級戦犯と言われる最高責任者や

戦争指導者と一般犠牲者を同列に扱う靖国神社の有り方は諸外国から理解を得るのは難

しいだろうなと思います。

私の父も軍隊で苦労しました。その兄(守山家の跡取り長男)は軍艦「日向」の水兵

として昭和16年に南方で戦死しています。父は生前一度も靖国神社には参拝しません

でした。先の大戦で最後まで軍隊経験をした父が戦死した兄が居る?と言われる靖国神

社を参拝しなかった思いは何であったのか。残念ながら当時はその様な意識も無く且つ

聴いてみる雰囲気もなかったので真意は分かりません。

靖国神社をお参りしたい人は参拝すれば良いと思いますが同時に天皇陛下も含め政治家、

国民、外国から要人が何のわだかまりもなく戦渦に散ったた先人をお参り出来る施設を

設置する事が「戦後70年談話」よりも目に見える意義があったと思います。

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 守 山  淳 経営コンサルタント オフィス J.M.代表
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コメント1件

  • hayabusa | 2015.09.03 2:43

     バランスのとれた素晴らしい靖国神社論であると思います。一部の政治家が靖国参拝をなさるのはご自由ですが、参拝の前に、政治家として、守山さんがお書きになった靖国神社論に反論するような知的作業をなさる義務があるのではないでしょうか。

    (守山論文の掲載が遅れて、申し訳けありませんでした)

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