中韓との関係改善のためにリーダーがやるべきこと

2013-08-28

アジア諸国との関係、とりわけ中国と韓国との関係が、歴史問題などで抜き差しならない状態に陥っています。この問題をどう考えたらいいのか、日本政府やリーダーは何をどのように改めたらいいのか、米コロンビア大学のキャロル・グラック教授が朝日新聞8月20日付オピニオン面のインタビューで貴重な提言をしています。いささか旧聞で恐縮ですが、簡単に紹介します。

安倍晋三首相は終戦の日の全国戦没者追悼式でアジア諸国に対する加害者責任に触れませんでした。このことについて、グラック教授は「そうすれば国内的に支持を得られると考えたのだろうが、ソウル、北京だけでなく、ワシントンからも批判の声が上がるのは常識的に考えられることであった。今日の国際的常識からすれば、加害者責任に触れないことは『地政学的無神経』といえる」と断じています。

その根拠として、グラック教授は1980年代末、東西冷戦の終結後、戦争の記憶に関する「グローバル記憶文化」とでも呼ぶべき新しい国際規範が生まれたことを挙げています。この典型はホロコーストに対するEU諸国共通の記憶です。それはナチスドイツのホロコーストについての記憶だけでなく、トルコ政府がオスマントルコ時代のアルメニア人虐殺を認めないことが、EU諸国がトルコのEU加盟を容易に認めない重大な理由になっているのです。米下院が2007年、旧日本軍の慰安婦問題で非難決議をしたのも同じ流れであると、教授は指摘しています。

また、グラック教授は「日本政府は90年代になって突然、戦争の記憶に対処しなければならなくなった。それは世界的な『新しい常識』である。自民党が(過去の戦争に関する問題を)国内問題として扱おうとしても、それとは別種の国際環境が存在している」とも述べています。

日本国民にとしては辛いことですが、私どもは太平洋戦争の加害責任を免れることはできません。「グローバル記憶文化」という新しい世界常識について、改めて、しっかりと考えてみる必要があると思います。 (早房長治、8月28日記す)

 

 

 

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