「米朝首脳会談と日本の立ち位置」--打越さんによる5月28日の勉強会のまとめ
5月28日の勉強会はテーマである「米朝首脳会談と日本の立ち位置」をめぐって活発な論議が繰り広げられました。議論を主導した打越芳信さんが報告をまとめて下さいましたので掲載します。多少、読みにくい個所や分かりにくい部分ありますが、原文のまま載せます。質問のある方は直接、打越さんにお願いします。(早房長治)
米朝首脳会談と日本の立ち位置
〇(問題提起として)
安倍は、北朝鮮の核、ミサイルが日本の安全保障の問題と喧伝するが、北として日本を攻撃する理由は見当たらない。
諸外国は日本の技術、文化に魅力を感じ、親交を希望こそすれ、日本を敵としたい国はない。それは北も同じ(打越)。
〇(米軍が日本に駐留するではないかとの疑問に)
北が本気で米国と対決するなら、米本土を直撃しなければ意味がない。
日本の米軍基地を撃てば、米国へ致命傷を与える前に全面的に反撃されてしまう。浅野内匠頭は吉良に軽傷を負わせて切腹させられた、その二の舞になる。
北には日本の米軍基地を撃つような回り道の時間的な余裕はない(打越)。
〇米国の本心は北への先制攻撃!
⇒それは中、ロの参戦、朝鮮戦争の再燃を意味。
もしも米国が核を使えば、米国本土が中、ロの核攻撃の対象になり兼ねない。
⇒かつてルーズベルトが対日参戦のために日本の手出しを待ったように、トランプは北からのちょっかいを待っている。
〇米国の大統領は、外国訪問中も核攻撃のゴーサインのため核の鞄を携行。本物かどうか分からないが、それは大統領の三種の神祇。
⇒だから文在寅は北に米朝会談を本気で勧めている。韓国の同朋が北に居る。
〇トランプを会談実施に動かしたのは北の核、ミサイルを放置できなくなった、それがモチベーション。
⇒トランプとして、人気回復のために会談を実現し成功させる必要
〇北の国内の窮乏度が正確に分からない。それゆえ、金正恩の対応が今一つ予想できない。
〇北は経済制裁が続けばいずれは耐えられない。
⇒核、ミサイル開発は、米国を会談に引き出し、制裁緩和にもたらす生き残り作戦。
⇒日本が追い詰められて真珠本攻撃をし、首謀者が絞首刑になったより頭か良い。
会談で北はどこまで譲歩するのか?
〇北は、リビヤのカダフィー大佐が核を放棄して潰された例を見ているから、簡単に米国の条件を呑むことは考えにくい。
〇北で二・二六のようなクーデターが起こることは?
⇒先軍政治体制下では考えにくい。
〇北の基本的な立場は朝鮮半島全体の非核化。そのことは南北で一致している。
⇒朝鮮半島の非核化要求は米軍の韓国からの引き上げ要求にも匹敵し、米国は明言できない。
〇トランプの欲しいのは北との和平、延いてはノーベル平和賞(人気の再燃、大統領の再選を意味)。
和平条件が「ノーベル賞」に値する範囲で譲歩することは考えられる。
安倍が口にする拉致被害者の帰国はどうなる?
〇過去の拉致被害者の帰国は、二度とも小泉の訪朝で実現した。
今回のように、トランプや文在寅頼みでは無理
〇前回は外務省の田中 均が北朝鮮側との信頼関係を築き、02年9月の歴史的な首脳会談実現の立役者となった。そのような人間が今、外務省にいない。
〇日本は北に対して戦時賠償も必要。
⇒北としては戦時賠償の確保が重要で、冒頭で、北が日本を攻撃する意味がないとした、その時は言わなかったが、その三つめの理由。
以上