黒田夏子さん、「挑戦するシニア」の鑑

2013-01-27

７５歳の黒田夏子さんが、このほど、１４８回芥川賞を獲得した。同賞の歴史上、最年長の受賞である

。黒田さんは「筆歴７０年」の大ベテラン作家だが、これまでは２０１２年、「abさんご」で２４回早

稲田文学新人賞を受賞するまで無名であった。芥川賞受賞作も「abさんご」である。

この小説は横書きで、ひらがな表記の多い、変わったスタイルの作品である。このことについて、黒

田さんは「私は長い間、無名であったから、自由に試行と変容を繰り返すことができた。横書き、ひら

がな中心の表現法もその結果です」と述べている。

７５歳での受賞については、「ためらい多くて」「隠れていたいい作品が発見されるきっかけになれ

ば嬉しい」と謙虚に語っている。しかし、７０年間、世間から無視される中で黙々と書き続けた我慢は

非常に厳しいものであったようだ。何よりも好きな著作を続けるために、教員、事務員、校正者など、

様々な仕事で家計を支えてきた。「私の作品が世の中に受け入れられるはずがない」と考え、作品賞へ

の応募をしなかった時期が数十年間あるという。

黒田さんは孤独である。親、姉妹（きょうだい）はすでに無く、子もいない。こうした環境の中で、

黒田さんは「いつまで生きていられるか分からない」といいながらも、次作の構想を固めつつある。

このけなげさと強さは「挑戦するシニア」の鑑である。「挑戦するシニア」の資金がもう少し豊かに

なったら、黒田さんのような方をぜひ表彰したいと思います。

（早房長治）

コメント2件

dapsumuptussy | 2013.06.25 6:46

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