「トランプ大統領」で変わる米国、日本も覚悟を迫られるーー守山淳

2016-05-29

 大方の予想に反しトランプ氏が共和党の大統領候補になりました。彼は大統領候補の中で

唯一「プーチンと協力していく」方針を示しています。それでロシアメディアは「トランプ

支持一色」になっています。

まだ彼は大統領ではないので大統領としての行動で判断することはできませんが色々な問題

発言から見えて来た彼の本質は「米国は貧しい債務国なのに北大西洋条約機構(NATO)や

国連(UN)といった国際機関への資金分担は不相応に多いとの認識」「日本や韓国、サウジ

アラビアといった同盟諸国との関係も同じように不公平だ」と述べました。「われわれは知

恵が回り抜け目がない手ごわい人たちから長年見下され笑われ搾取されてきた」として「米

国を第一に考えてこれ以上搾取されない形にする。友好関係はあらゆる方面と結ぶが利用さ

れるのはごめんだ」と強調しています。彼の中でアメリカは「貧しい債務国」です。それな

のにNATO、国連、米軍駐留費用など「負担は多すぎる」というのです。だから「アメリカ

の負担を減らし」「他国の負担を増やす」と云っています。

かつてトランプと同じように考えた指導者がいました。ソ連最初で最後の大統領ゴルバチョ

フです。彼が1985年に書記長になった時ソ連は原油安で経済難に陥っていました。「わが

国は東欧をはじめアジア、アフリカ、中南米の共産陣営まで支援している。わが国の負担は

大きすぎこんな状態をいつまでも続けることはできない」とトランプとまったく同じことを

考えました。そして「東欧の政治にかかわるのはもうやめよう」となりました。その結果、

1989年にベルリンの壁が崩壊し東西ドイツは統一され1991年末ソ連は崩壊しました。

トランプ氏が大統領になっても賢いブレーンたちによって軌道修正するかもしれませんが彼

が大統領になって「有言実行した」と仮定しするとソ連の例を見る様にアメリカの没落は加

速するでしょう。アメリカの支配力(=覇権)が弱まります。会社員は社長に従います。

何故か? 社長が給与の支払いをしているからです。社長が給与未払いと言ったら誰も社長

の云う事を聞きません。国際社会もカネと「軍事力」「安全保障」を提供することで支配出

来ます。EUも経済規模はアメリカより大きいぐらいですがNATOを通して事実上アメリカ

に支配されています。日本はGDP世界3位の大国ですが日米安保によって支配されていま

す。トランプが云う「アメリカは出す金を減らす」「アメリカは軍事的関与を減らす」とい

う事は「アメリカの支配力を減らす」というのと同じです。「金も出さない」「軍事力も出

さない」国のいうことを聞く理由ありませんからトランプは結果的に「アメリカは覇権国家

をやめる」といっているのです。ゴルバチョフがそうだったようにトランプもおそらくその

ことに気がついていない。「米軍を撤退する!」と脅されている日本はどうすべきなのでし

ょうか? 何時でもアメリカが助けて呉れると云った戦後一貫して体に沁みついた習性を変

える時が迫っていると言えます。益々中国は増長しアジアでの露骨な領土拡大策を進めるで

でしょう。取り合えずは尖閣列島を武力で占領。そして沖縄を中国領土に・・・。何しろ日

本の同盟国の米国は何もしないぞ、と云っているのですから。日本はその時にどうするのか

を真剣に考える時代が迫っている様に感じます。

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守山 淳 経営コンサルタント オフィス J.M. 代表   

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コメント1件

  • 早房長治 | 2016.05.29 16:59

    第2次大戦後70年間、日本は米国という大樹にしがみついて生きてきました。ところが、その大樹が「大樹であることを止める」「私の陰で暮してきた木々を保護することを止める」といい出す可能性が出てきたのです。良し悪しはともかく、日本は自衛の道を歩まざるを得ないことになりそうです。日本人は生き方の大転換を迫られようとしているのです。

    困ったことに、多くの日本人はそのことに気付いていません。私は守山さんと危機感を共有します。

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