米国から見た 訳の分からない国 ニッポンーー守山淳

2015-07-31

「安保関連法案」の衆議院通過に対し国民の理解が進まず安倍内閣の支持率が急落して

います。「集団的自衛権」は国連で全ての国に認められている「権利」です。日本も当然

にこの権利を有していますが「集団的自衛権は憲法に違反していると解釈して」自ら封じ

て来ました。処が今回安部内閣は「他の全ての国々同様に日本も集団的自衛権を行使する

事を可能にする」との解釈に変更しました。賛否両論は別として安保法制はこの解釈し直

して日本は他の全ての国が実行できる事を日本も出来る様にした。ただそれ丈の事です。

この本質を最初に確り国民に伝達しなかった事とホルムズ海峡封鎖など中東での紛争を例

に出した為にアメリカの戦争に自衛隊を派遣するという印象が強く本当は増大する隣国、

中国や北朝鮮の力の外交に備えるという本質がボケてしまいました。

集団的自衛権を認知した安倍政権に米国は歓迎の意を表しましたが日本の世論の反発を見

て戸惑っていると思います。オバマ政権は中国のプロパガンダに洗脳され安倍総理を危険

な歴史修正主義者、軍国主義者と思っていました。それは靖国参拝に対する異常とも言え

る同盟国日本への非難になりました。処が中国のAIIB問題で英国始めEUの親米諸国

が加盟する中で日本だけが米国の要望に沿って参加をせず。米国議会での安倍総理のラブ

コール演説と相まってオバマ政権は自分達が中国のプロパガンダに騙され日米分断作戦に

乗せられる寸前であった事に気が付きました。中国の南沙列島問題で強硬な姿勢に転じた

裏には日米が心を一つにして中国に対峙する戦略が見えます。

処が二階議員を団長とする大訪中団が中国を訪問。人民大会堂での交流会式典に習近平主

席が出席して「朋あり遠方より来る、また楽しからずや」と孔子の言葉を引用しながら笑

顔で挨拶をしました。日本のマスコミは一斉に「中国は要約分かって呉れた。日中友好は

進む」と言った歓迎ムードの論調でした。しかし個人の関係で考えれば直ぐ分りますが昨

日まで方々で悪口を言いまくっていた男が突如ににっこり微笑んで摺り寄ってきたら「な

んか裏に魂胆があるのでは?」と疑うのが普通です。

習主席の豹変の理由で考えられる事は二つ。一つは中国経済の失速。二つ目は覇権国家へ

の戦術の変更です。経済の失速は既に上海株式市場の暴落の形で表面化した通り無理な金

融政策によるバブル崩壊です。労働争議、高騰する労働賃金で多くの外国企業が中国離れ

をしています。二つ目は日米分断作戦のやり直しです。中国の国家目標はアメリカに替わ

る覇権国家、中華民族の偉大なる復活です。その為に中国は既にケリー米国務長官に対し

「広い太平洋は中国と米国の両国を受け入れる十分な空間がある」と語り中国は太平洋の

東半分を支配する意思を示唆しました。アメリカのリベラル派は楽観的でしたが今度の

AIIBB設立の動きと南沙諸島での人工島の建設を見て中国は明らかにアメリカとは別

の世界秩序を作ろとしている事に気が付きました。中国は日本を叩き潰す為にモスクワで

ロシアと韓国に提案した「反日統一戦線」の構築でしたがAIIBと安倍総理の米国議会

演説でこのシナリオは頓挫しました。そこで別の方法に切り替えました。それが今回の二

階訪中団に示した習主席のほほえみ外交です。日中が友好関係を進め日米の分断を計る戦

術です。民主党政権の時は日中関係は良好でしたが日米関係は戦後最悪でした。その再来

を狙っての事です。

我々は中国が本当の意味で親日なる事は無い事。表面的友好姿勢は何時かは突然に牙を向

く事を肝に銘じてあくまで「アメリカを中心とする中国包囲網の形成」を維持することだ

と思います。中国には「反日統一戦線をつくろう」といったり「仲良くしよう」と言った

り一貫性がありません。個人でもそんな人間とは信頼出来る友人にはならないのと同じで

す。にも拘わず外務省は安倍総理の訪中を計画しているそうです。

この動きを米国の目線からはどう見えるでしょうか? 日本は理解の出来ない国と映る

のだと思います。米国に取っても対中国対策に日本の集団的自衛権は大歓迎ですし何より

日本の安全を日米で協力して守ろうというのに日本国民は支持をしないで逆にアメリカの

戦争に巻き込まれると言って反対をしている。アメリカにすれば日米安保条約で日本の戦

争に自分達が巻き込まれる危険性を抱えているのに・・、となるでしょう。現に最近の米

国議会で極東情勢を分析した委員会で日米安保は一方的に米国が日本を守る不平等条約で

あるとの不満が共和党議員から発しられました。更に南沙問題で中国に強硬な姿勢をとり

始めた矢先に梯子を外された気分になるのだと思います。結果、日本は信頼出来ない国だ、

となります。

日本は何故中国と和解に向かったかと言えば中国側が「日本と関係改善したい」とのシ

グナルを送って来たからです。その背景は上記の通りです。日本は「和をもって尊しとな

す」国ですからその一点だけを見て中国の本当の狙いやアメリカがどう感じるかなどの大

局観が欠落してると思います。何しろ「世界遺産問題」で韓国に見事に騙されたお人良し

外務省が担当ですから心配です。

安倍総理は苦労して折角アメリカとの関係を強固にしたのに訪中はそれをぶち壊す危険性

が有りますから米国と事前に確りとした意思疎通を図っておくべきだろうと思います。

そうでないとアメリカはまた中国に騙されて「中国と組んでまず日本をつぶそう」となる

かもしれません。何しろかつて宿敵ソ連と組んで日本・ドイツをつぶした国ですから。

アメリカからすれば尖閣有事の為にオスプレーを配置しようとすれば反対。中国への抑止

力である沖縄の米軍基地も反対。日本の有事では米国が日本を守れ、ただ米国の有事には

日本は関係ない、となれば普通の米国人であればそんなに嫌であればどうぞ我々は撤退し

ます。米国は中国が提案するハワイを境に東側は中国に任せましょうとなる可能性もあり

ます。何しろ中国は手を変え品を変えて日米韓の分断と日本国内の反米を画策しています。

気が付いたら日本が言論の自由もなくチベットと同じ様に民族抹殺の危機に面する運命に

なっていない様に大局的視点での外交戦略と安保法制の理解が重要だと思います。

政府も靴の裏から痒い所を掻くような廻りくどい説明ではなく今の日本が置かれている危

機をストレートに説明する事が大切だと思います。そして何より我々自身がマスコミや評

論家、学者の単純な表面的現象だけでの論調に惑わされず世界の状況と極東の現状に対し

大局的視点を持って安保法制の意味する処をを確り見据える必要があると思います。

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守山 淳 経営コンサルタント オフィス J.M. 代表   

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