新・安保法制の成立後も心配ーー6月勉強会の報告

2015-06-11

6月勉強会報告

 6月の勉強会は9日、「安全保障政策の大転換ーー現憲法下で集団的自衛権の導入・自衛隊と米軍の一体化は可能か」をテーマに開かれました。出席者は少数でしたが、日本の将来に係る重要問題だけに2時間にわたり熱い議論が繰り広げられました。
「現実的に考えると、新・安保法制は違憲の疑いが強い」という意見が大勢で、「政府与党は国会における多数を頼んで安保関連法案を成立させるだろうが、実施の段階で面倒なことが多数起きる恐れがある。国論が割れる恐れもある」という見方でほぼ一致しました。

 最初に、早房が新・安保法制の全体像と日米軍事一体化はどのように進められるかについての資料を配り、内容を簡単に説明しました。関連法案は11ありますが、いずれも複雑で難解です。例えば、想定される「危機的事態」にしても、武力攻撃事態、存立危機事態、重要影響事態などがあり、どう違うのか分かりにくい。重複しているものもあります。

討論では、「安倍首相は、他国での戦闘はホルムズ海峡における機雷掃海以外はやらないなどといっているが、自衛隊を海外派遣する判断は時の政権が決めるというのだから、事実上、厳格な歯止めはなく、何でもできるというに等しい。明らかに、安保法制は違憲だ」「安倍政権を含めて、歴代の自民党政権は戦争や戦力について拡大解釈の幅を広げてきた。とりわけ、昨年夏の憲法解釈変更以来の安倍内閣のやり方を認めたら、戦争や戦力の概念が憲法が認めているものと全く違ったものになる。これ以上の拡大解釈を許してはてはいけない」「政府与党最高裁の判断を尊重し、その範囲内で新・安保法制をつくったと主張しているが、日本の最高裁は違憲立法審査権を持っていない。新・安保法制は91年のイラク戦争でのクウェートの反応などにショックを受け、また、対米追随と反中の政策を追求する外務省主導でつくられたのではないか」「安倍首相の認識は理解できない。発言も信用できない」といった発言がありました。

いささか意外に聞こえるかもしれませんが、出席者が最も心配したのは新・安保法制が成立した後でした。「政府が新・安保法制に基づいて具体的処置を取り始めると、憲法に合致しないことが多いことが明白になって、国民の抵抗が増すだろう」「自衛隊は海外派遣などによって危険が増すだろうから、隊員の募集が難しくなるだろう。結局、徴兵制まで行かざるをえないのではないか」「海外で戦う米軍の支援をすれば、日本を敵国と考える人々が世界に増えて、旅行者など一般国民に対するテロが増える可能性がある」などの発言が出ました。

政府与党は国会会期を延長しても新・安保法制を成立させようとしています。これに対して、野党だけでなく、自民党の副総裁・幹事長経験者の中からも反対意見を鮮明にする政治家も出てきました。「挑戦するシニア」の仲間としても、論議を注視し、積極的に発言していく必要があると思います。

その先陣を切って、勉強会にも出席された福井義夫さんが新・安保法制に対する意見を寄せられました。次のブログに掲載します。

                                     (文責 早房長治)
                                       

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