安保法制の国会論議、これでいいのかーー守山 淳
安保法制が国会で議論をされています。米国の戦争に巻き込まれると野党が反対している。
憲法9条の改定にひた走る安倍総理の手法に危うさを感じている国民も多いと思います。戦後の
日本は絶対的覇権国であったアメリカの核の傘のしたで経済一本で繁栄を謳歌して来た。しかし
中国の台頭、激変する中東諸国の状況を見ると日本の戦後姿勢が何時まで通用すのかと不安にも
なる。添付は知人が送って呉れた最近に中東諸国の米国離れの状況などが生生しく書かれている。
世界の警察は19世紀まではイギリスが、20世紀にはアメリカが果たしてきたがこれには膨大
なコストがかかる。主権国家としての「国益」を考えると自国の防衛に無関係な戦争には参加す
べきではない。こう考えたアメリカは第1次大戦後に自国のウィルソン大統領の呼びかけで設立
された国際連盟に参加しなかった。その結果はまた世界大戦が起こってアメリカは第1次大戦よ
りはるかに大きなコストを払った。これにこりて第2次大戦後はアメリカが「世界の警察」の役
割を果たしてきたがこれに対する反対も根強い。オバマ大統領は「われわれは世界の警察である
べきではない」と明言し共和党右派は新孤立主義による在外米軍基地の撤収を主張している。
来年の大統領選ではこれが争点になるだろうがヒラリー候補はオバマ大統領とほぼ同じだからど
っちが勝ってもアメリカは対外的介入に消極的になるだろう。これは日本には大きな負担になる
事を認識する必要がある。
中国の脅威がある。それは経済大国としての脅威ではなく経済破綻による政治的混乱。今まで
は成長によって貧富の格差をごまかしてきたがバブルが崩壊すると共産党政権そのものが倒され
る革命戦争の危険もある。もちろん中東にも多くのリスクがありロシアも危険だ。特に重要なの
はアメリカが撤退することによってテロリストが成長し核兵器を持つリスク。米国の撤退でイス
ラム国が暴れているが有効な対抗手段がない。更に先の核拡散防止会議は各国のエゴで共同宣言
も採択出来なかった。
いま世界のプルトニウムのブラック・マーケットの最大の供給源は北朝鮮だがロシアやパキスタ
ンそして中国が市場に参加すると核兵器が市場方品となり入手しやすくなる。専門家によるとイ
ランとベネズエラが核物質を取引しヒズボラ(レバノンの反政府組織)やアルシャバブ(ソマリ
アのアルカイダ系組織)が北朝鮮と取引するなど世界のテロ組織にプルトニウムが拡散している
疑いがある。原爆がつくれなくてもプルトニウムは「ダーティ・ボム」としても強力なのでテロ
リストにも使える。ティーパーティなどの極右のほうが新孤立主義の傾向が強いという。
日本が恐れるべきなのは「集団的自衛権で地球の裏側の戦争に巻き込まれる」リスクではなく
アメリカのほうから「戦後レジーム」を破棄して日本を防衛しない事へのリスクである事の方が
重大だと云える。自国の安全は自分で守る覚悟とそれに対する法整備も必要となる。そうした視
点を忘れての安保法制議論は虚しいものに成ってしまう。
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守山 淳 経営コンサルタント オフィス J.M. 代表
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hayabusa | 2015.05.28 15:45
国会議員はもちろん、国民が考えてみる必要のある勝れた指摘だと思います。ただ、自力での武装は筋が通っている半面、米国や中国をはじめとする多くの国から袋叩きにある可能性があります。また、莫大な経費がかかることはいうまでもありません。
(もう少しコメントを続けたいのですが、私は、いま、入院中なので、退院後、続きを書きます) 早房長治