10月の勉強会報告 台風一過の快晴の下、活発な議論

2014-10-16

 

2014年10月の勉強会は14日午後、本部で開きました。台風一過の快晴の下でしたが、明け方まで荒れ模様の天候であったため、欠席者が多く、集まったのは9人でした。しかし、少人数の良さもあって、議論はいつもにも増して活発でした。

最初に福井義夫さんに前回の勉強会に提出された見解について説明していただき、それを基に皆さんと話し合いました。福井さんが詳述して下さった見解の「結論」(新たに提出)は下記の通りです。

6.結論

アベノミクス政策が齟齬を来した原因は、我が国の実体経済の現状を見誤まっていたからではないか。

・我が国は既に、過激な金融緩和政策を採れば、従来通りの円安醸成による輸出の増大により容易に景気回復可能という目論見は成立しえない状況になっていたこと。

・少子高齢化(我が国は少々変化が激しすぎる)により、徐々に国内市場が縮小に向かっていて、この傾向を復元するのは容易ではなく、カンフル剤

の投与程度では無理である。現在は戦前の様に“生めよ増やせよ”が通用する時代ではあるまい。

・高度成長期には、内需が我が国経済を牽引していた。

・1980年代半ばから2000年代半ばまでは、輸出主導で経済を牽引した。 (企業の生産力は十分、製品の競争力もあった)

・2000年代半ば以降から、我が国の実体経済は停滞し成長率は低下したことにより円高・デフレ状態で安定期となったのには、それなりの必然性が有ったのではないか。その原因は新製品や新技術を開発、新たな生産方法による高付加価値の製品を安く世に送り出し、円相場が高くても利益を出せる体質を創り出せない企業経営にあると思う。現在の企業は国内、海外を問わず利益さえ上がってさえいれば良い、即ち株主優先思考に支配されていて、社会的責任を果たしているとは言えないようだ。

この様な状況に至っている現状を認識することもなく、従来通りの発想の下にアベノミクスとやらに突入した結果、起こるべくして起こったが現状ではないか。現に円安になっても、設備投資も増えず、輸出も増えていない。即ち、製造しても売れない状況にある。一方庶民は過度の円安による輸入インフレに苦しんでいて、このままでは個人消費は伸びないであろう。いずれにしろ、今後どの様な政策を採ろうとも“行くも地獄、退くも地獄”、国民の 生活は当分楽にはなることはなさそうである。

以  上

これに対して賛成の意見が相次ぎ、「少子化の経済への影響は大きく、アベノミクスが目指すように、経済を成長期軌道に乗せるのはほとんど不可能だ」「若い人々が結婚したり、子供を産む環境が基本的に整っていない。保育所不足だけの話ではない」といった意見が出ました。

議論は若い世代の生活の現状についてに発展して行きました。「若い世代の収入を増やさないと社会は歪むばかりだ。このままでは、彼らは共稼ぎをしても人生設計ができない」「非正規労働者は全体の40%に達している。収入の低さや立場の弱さも問題だが、現状では、若い人たちの大部分は社会的立場が不安定で、所属先がない状態だ。若者を農業再生の担い手にするのはいいが、その環境が整っていない。年金生活者の生活は苦しくなるだけで、財布のひもがきつくなるのは当然。安倍首相は明るい話ばかりするが、国民にとって、社会の行き詰まり感が増すばかりだ。政治の転換が必要だ」などの発言がありました。

では、どんな政治の転換が必要なのか。「安倍政権は地方創生を唱えているが、生半可なやり方では成果は出ない。福島に首都を移転するくらいのことをやら なくては日本は変わらない」「消費増税で歳入を増やそうとしても、消費を減らすばかりで、歳入は増えない。貧富の格差が拡大しているのだから、高所得者からもっと税金を取るべきである。累進強化も必要だ」「政治の力で企業のあり方も変えなければならない。今のような株主優先の経営は抑えるべきだ」といった過激ともいえるような発言が続出しました。いずれも重要な提案ではないでしょうか。

消費税の再増税については、反対が圧倒的に多数でしたが、「長期的には、社会保障費に充てるために必要だ」という現実的な意見もありました。消費税論議の時に必ず出る「増税の前提として、議員数や歳費の削減、行政改革などを行うべきだ」という発言はこの日も多数出されました。一部のメンバーは「とりわけ安倍政権と自民党はまったくやる気がない」と、怒りをぶちまけました。

勉強会の終盤、議論の範囲はさらに拡大しました。「円安が国民生活を直撃しているが、原発が停止しているために化石燃料の輸入が増加しているからではないか」という発言をきっかけに、議論は原発めぐるものに発展しました。「今年の夏も、原発ゼロでも越せたではないか」「再生可能エネルギーの開発に、もっと力を注ぐべきではないか」「原発は本当にコスト安とはいえない」など、原発再稼働への疑問が続出しました。この結果、原発再稼働への反対論が圧倒的でしたが、「最新鋭の原発まで止めるのは如何か。少数稼働が現実的ではないか」という意見も最後まで残りました。

アベノミクスについての議論が原発に及んだのは、今日の日本が多くの深刻な問題を抱えていることを示しています。また、日本はどんな国を目指したらいいか、ビジョンつくりを政治が怠っているために、国民は迷い、すべてのことを考えざるを得ないのではないでしょうか。

(文責 早房長治)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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