9月, 2014年

日本人の価値観についてーー瀬名敏夫

2014-09-29

下記の論文は、小林昌三さんの友人、瀬名敏夫さんがある会合で講演なさったものです。少し長いですが、興味ある内容なので、紹介させていただきました。月例の勉強会で話し合ってもいいテーマです。ともかく、ご一読を。(早房長治)

日本人の価値観について     瀬名敏夫  (土曜懇談会 2014・9・22)

1.価値観とは

・個人または集団の持つ価値評価の判断(広辞苑)

・どういうものに価値を認めるかについての考え方(日本語大辞典)

何に価値があって何に価値がないかを考える中心にその主体の生存・安全の維持がある。その周りに活動や生活の安定・向上といった自利がある。さらにその外側に自分を取り巻く社会・組織との関係についての配慮がある。価値観は時代・環境・状況の変化により変動する。また、対象・テーマにより多様な価値観が生ずる。

2.日本人の一般的価値観

日本人が伝統的に保有している価値観を表わすキーワードを挙げてみる。

・性格… 勤勉、誠実、温厚、和、清潔、堅実、平常心、惻隠の情、潔い、中庸、

・行動規準…不言実行、他人に迷惑をかけない、率先垂範、約束を守る、規律正しい、お天道さまに恥ずかしくない行動、

・社会…情けは人の為ならず、陰徳あれば陽報あり、出る杭は打たれる、長いものに

は巻かれろ、人の絆、親孝行、歳末助け合い運動、

・経済…早起きは三文の徳、三方よし(売り手よし買い手よし世間よし)、損して得取れ、

自利利他、先義後利、浮利を追わず、

・リスク管理…備えあれば憂いなし、臨機応変、

・歴史認識…過去は水に流す、死ねばみな仏、

日本人の価値観は「世間」を強く意識した相対性価値観(相対性倫理)。善悪・理非曲直は一応理解するが、価値判断の絶対的な基準がなく価値を判断する原点が世間・組織・集団の意向に合わせて移動する。個人の利益より集団・組織の利益を優先する判断が多い。集団・組織からの脱落を恐れる傾向がある。世間の評判を非常に気にする。

トップの不適切な指示による不祥事ばかりでなく、トップの意向を忖度した判断・行動が企業不祥事の原因となっているケースが少なくない。

3.日本人の価値観の源流

(1)  気候風土…寒暖差の大きい四季(稲作農業・林業・漁業に適す)、島国、大陸から遠い。

(2)  仏教…諸行無常、輪廻転生、因果応報、五戒(不殺生・不偸盗・不妄語・不邪淫・不飲酒)

(3)  儒教…儒教の五常の徳(仁・義・礼・智・信)、 仁義八行(五徳+忠・孝・悌)、

(4)  神道…自然崇拝(神道の神は祖先の霊と自然)、八百万の神、氏神信仰、

(5)  武士道…家名存続、男子相続、君に忠誠、士農工商、

(6)  キリスト教文化…神の加護、隣人愛、自己犠牲、

4.外国の価値観との比較

(1)  欧米諸国(キリスト教圏)の価値観

バイブルの教えが絶対的判断基準になっている。数千年間の欧州内での抗争・競争の歴史があるので交渉術は巧みな人が多い。相手と自分の力関係を見定めながら粘り強く問題を解決して行く。また攻撃的な議論に強く一つの価値観で理論構成をしてそれが絶対に正しいとの態度で強力に攻撃してくる。日本人はすぐ守勢にまわり反論できないと自己反省してしまう。(欧米人は問題が発生するとすぐその解決法を考えるが、日本人はまずその問題の原因を追及するので攻撃になかなか転じられない、という意見もある。)

多数の民族がモザイク的に居住しており民族のアイデンティティーを大切にしている。個人主義が徹底しているので自己主張を行なわないと理解・評価してもらえない。謙虚は美徳ではない。

(2)  中東(イスラム教圏)の価値観

最後の預言者ムハンマドが神アッラーの啓示を受けて語った言葉を記録したのがコーラン(クルアーン=朗唱されるもの)。コーランの教えが価値判断の絶対的基準になっている。六信五行を守ることがムスリム(イスラム教徒)の義務。

六信(神・天使・啓典・預言者・来世・定命) 五行(信仰告白・礼拝・喜捨・巡礼・断食)、礼拝は一日5回。一夫多妻(4人まで)が認められている。女性には社会的な資格がなく選挙権・運転免許などが認められない国も多い。コーランの教えは厳しい自然環境の中で暮らして行くための生活規範である。コーランとムハンマドの言行録をベースに作られた法律がシャリア法。偶像禁止、豚肉や飲酒の禁止、罪人の公開処刑等厳格に守らせる国(サウジアラビア等)と緩やかな国(インドネシア等)とがある。シャリア法では金利を取ることは禁じられており融資は投資の形を取る。

(3)  南西・東南アジア(仏教・ヒンズー教圏)の価値観

仏教の経典と同様にヒンズー教の聖典「ヴァガバット・ギータ―」でも「正直で誠実であるべき」「他人を家族同様に思いやりを持って助けよ」「社会奉仕は人間として大切なことであり無私の気持で実施しなければならない」「社会人としての自己の義務に利益を優先してはならない」等が書かれている。インド建国の父マハトマ・ガンジーは「7つの大罪」として①原則なき政治②労働なき富③道徳なき商業④良心なき快楽⑤品性なき知識⑥人道なき科学⑦犠牲なき宗教を挙げた。しかし経典や聖典やガンジーの言葉に反して現実社会の価値観はまだ自己利益追求に基くものが多く、ビジネス倫理は極めて低い相手や地域が多い。グローバルに通用する価値観を持った人や企業が成功し発展することにより、その国や地域のレベルが次第に上がって行くものと思われる。

(4)  東アジア(中国・韓国)の価値観

グローバルに活躍している中国企業は次第に増加しているが、社会のマジョリティの価値観は自分と家族・血族の利益最優先である。そして自分の主張を通すためには相手に対する思いやりは一切無用として力で押せる限りごり押しする傾向がある。目的を達する為には汚いと思われる手でも禁じ手でもどんどん使うし、それを正当化する理屈は後からつける。自己中心の身勝手な価値観の横行する国である。中国を初めて訪問する日本人ビジネスマンの中には、中国を孔子の教えが浸透している「仁」の国と誤解し易いが、大きな間違いである。嘘をついたりだますことに罪悪感がない。「頭が悪いからだまされるのだ。だまされる側に落ち度がある」などという理屈を平気で言う。食品偽装などがいつまでもなくならないのは当然ともいえる。韓国は中国よりずっと儒教・宗教の影響を受けているが身勝手な価値観を持っているところは共通である。いつまでも過去に受けた仕打ちを忘れない「恨(はん)の文化」は朝鮮文化の特色である。日本人と違って過去を水に流さない。

5.時代と共に変わる価値観

(1)  聖徳太子以後

聖徳太子以前は自然信仰を中心とした豪族による原始的共同体が各地に散在していたものと思われるが、大陸からの渡来人がもたらした大陸文化と仏教により新しい社会体制(律令体制)が徐々に構築された。聖徳太子の十七条憲法はその根幹の思想をまとめたもの。第1条「和を以って貴しと為す。忤(さから)う無きを宗と為す」に始まる官吏の行動基準である十七条憲法が6世紀末から12世紀末までの日本社会の価値観のベースになった。

(2)  武家社会

主君への絶対的服従によるタテ社会。規律の厳守と違反に対する切腹等の厳罰により組織内での結束と管理度を高めた。 男子相続によって継承される家の概念は女性の社会的立場を狭め男性中心社会に移行させた。江戸時代になってからは鎖国により外国からの政治的・経済的・文化的影響が極めて限られるようになったので、ワインの瓶の栓を閉めた如く、日本独自の文化や価値観が熟成されることになった。

(鎖国はキリスト教をはじめとする外国の価値観の排除が主目的であった)

武家諸法度による大名の参勤交代、国替え、兵農分離による重農主義政策と

士農工商の身分制度、寺社を通じて管理する檀家制度、住所移動・職業転換の制限、共同責任の五人組制度、など徳川幕府のシステムとガバナンスは江戸時代が265年の長きにわたり存続した大きな理由である。寺子屋によって日本人の識字率は1850年当時で世界一高く、武士は100%、庶民の男子は50%が読み書きができたという。

(3)  明治維新以後

版籍奉還・廃藩置県・四民平等(武士の特権廃止)などと共に文明開化による西欧の政治/経済システム・科学技術の積極的導入で日本の近代化が急速に進んだ。それにより価値観も大きく変わった。開国により日本へ押し寄せる欧米の植民地主義に対抗するために日本も富国強兵等の政策を通して植民地主義を推進する。日清・日露戦争の勝利は次第に軍部の暴走につながり、太平洋戦争での敗戦で漸くそれに終止符が打たれる。

(4)  太平洋戦争敗戦後

敗戦によりそれまでの価値観は大きく破壊され、占領軍による米国の民主主義・自由平等・平和主義が導入される。それに続いて、象徴天皇制・民主主義・平和主義基いた日本国憲法が発布される。戦後の物資窮乏時代は1953年(昭和28年)の朝鮮戦争による景気で乗り切り、日本株式会社といわれる官民共同の努力により高度成長を遂げ、1968年にはアメリカに次ぐGDP世界第2位となる。思想面・生活面で米国文化の影響は大きく戦前の価値観は大きく変貌を遂げた。1948-53年にはベビーブームが起こり団塊の世代と呼ばれる人口の急増がある。

(5)  現代

1991年のバブル崩壊に続くデフレ期は日本の高度成長期のシステムを大きく変質させた。ビジネスのグローバル化に伴う国外での生産・販売の拡大、電子機器・精密工業・自動車などの分野における韓国・中国の勢力拡大等により、国内の雇用縮小、年功序列・生涯雇用に代わる成果主義の導入、社会保障制度に対する不安感の増大などが顕著になっている。一方、IT技術の進化によって社会の情報化は大きく進行し、もろもろの情報が一瞬で広く伝達されるようになった。それによる犯罪等の問題も大きくなっている。2011年3月11日の東日本大震災は自然リスク・原発問題・家族の絆など日本人の価値観に多大な影響を与えた。2012年末に発足した安倍内閣の女性活用方針はグローバル時代に合わせた多様化の試みの一つと受け止められる。

 

6.この50年間で大きく変化した日本人の価値観

我々の世代が社会人となった頃と現在とで価値観が大きく変わった例を挙げてみたい。

(1)  家庭

・2世代・3世代同居 → 核家族化

・冠婚葬祭の重視 → 結婚式以外は地味化

・男性中心主義 → タテマエは男女平等、家庭中心主義へ傾斜

・家事(炊事・掃除・育児)は女性の役割 → 男性も一部担当(育メン・キッチンパパ)

・長期住宅ローンで持ち家入手 → 賃貸マンションに住む人も多い

(2)  企業

・年功序列 → 大企業は成果主義・能力主義

・終身雇用 → 転職はやり易くなった

・55~60歳定年制 → 社会年金支給開始年齢に合わせ名目65歳へ移行中。

・上司の権威大 → セクハラ・パワハラ等は問題化するので部下に気を使う。

・株持ち合いによる安定株主 → 株主の発言権増大

・労働組合の活動盛ん → 全般に組合はおとなしい

(3)  社会

・国内出張・旅行が殆ど → 海外出張・旅行は珍しくない

・娯楽はカラーテレビ → 若い人は誰でもスマホ

・盛り場でたまに外人を見る → 外人・外国語はどこにでも

皆さんご自身の価値観はこの50年で大きく変わったでしょうか?

(参考)

「人類はこの危機をいかに克服するか」 安藤顕・鈴木啓允・瀬名敏夫共著

(三和書籍 2014年7月刊)

 

終章 グローバル最大幸福GGH ―幸福の尺度の提案―

GDP(Gross Domestic Product)がベースの国連・OECD等の幸福指数

ブータンの国民総幸福指数 GNH(Gross National Happiness)

グローバル最大幸福指数 GGH(Gross Global Happiness)の提唱

 

イスラム国問題と日本ーー小林昌三

2014-09-29

ISIS or ISIL(イスラム国) という  にわか造りの集団が 益々” 戦闘員” を増やしている背景には 何処かに豊富な資金があり、且つ それだけ世界中に「不満分子」(とくに若者の)が多いと云うことでしょう。

若しかすると中には「日本人」も居るかも? ただ「採用する側」も 国籍などチエックするだろうからIslamic State メンバーに直ぐなれるのか疑問。
欧米マスメディアによると、この”戦闘員数” 2週間前 約3万人と発表したが、先週は 5万人と……。
また、イラク・シリアのみならず昨日Phillipines でも ドイツ人カップルの映像が放映され殺害をほのめかし6億円以上の身代金を要求している。

週刊新潮・「変見自在」(高山正之著)によれば 志願兵に週 400 ドル、外国人には倍の 週800 ドル支給されるらしい。普通の生活するには「 十分な金額。

加えて パソコン、i-Phone 等 情報手段がこれだけ発達しているので 世界中から ” 不満分子 ” を集めるのは ムズカシクないでしょう。
ただ 米国等の イラク・シリアへの air strike(空爆)は  どの程度効果的か?
やはり 地上掃討作戦でないと Islam State へ打撃を与える事は出来ないのではないか?

ともあれ、イスラム過激派潰しは今後 世界各国が共同作戦をはり、資金源 断ち・武器調達不可能にしないと 更に 犠牲者の出る心配。
日本は  今後どう云う ” 協力 ” が出来るか  国連 以外の アプローチは ないのか?

当地の 報道、 この数日  イスラム過激派に関するものが トップNEWS です。

豪ヒマ人

9月の勉強会2--アベノミクスについてのお二人の見解

2014-09-27

9月の勉強会の前後に、守山淳、福井義夫両氏からアベノミクスについての見解をメールの形でいただきましたので、紹介します。

<守山淳さんの見解>

 私も専門家ではありませんが、アベノミクスは早晩破綻すると思います。

アベノミクスに世界の投資家が注目したのは三本の矢です。特に規制緩和による経済の活性化。日銀の大胆な金融緩和で株高、円安に成りましたが単に銭に目が眩んでいる海外投資家が日本買いをした丈で、日本の投資家は逆に持ち株を売却して利益確保をしました。既に海外に生産拠点を移した製造業が多い事から円安は従来の様な輸出の好調さには結び付かず、逆にエネルギーや食糧の輸入比率が高い事で貿易収支の赤字化定着に成っています。

1100兆円を超える借金を抱えた日本の財政破綻が辛うじて保たれたのはギリシャなどと違い日本には稼ぐ力があると信じられているからです。これが貿易収支の赤字と政府の無駄使いによる財政赤字の改善に繋がらない。

肝心の経済成長を支える第三の矢は見せ掛けだけは良くても安倍政権が本気で実行する覚悟が見えない、という事が段々見えてきて海外投資家が段々と日本離れが始まっています。唯、今までは日本から投資を引いてもそれに代わる魅力ある投資先が無かった為にカネが日本に留まっていましたが最近の米国の景気回復指数などからFRB辺りが金融緩和の出口を探る動きを見せて始めた事でドル買い=円安が急速に進んでいます。

上記した通り円安は物価高を招き庶民の暮らしを直撃。消費が益々減退する事になり力強い景気回復が遠のきます。既にGDPが思った以上のマイナスにも表れていますが、大胆な金融緩和を譲らない黒田総裁ですので他国の出口戦略が実行されると日本は急激な金利上昇リスクに晒され一挙に奈落の底に落ちる危険性が迫っています。唯、日銀は安倍政権の政策を否定する様な動きは現段階では出来ず、10%への消費税率の実行決意の時期が迫っている事もあり、極めて難しい場面に直面しており、コントロール不能になるリスクを感じます。

国際公約の消費税10%を実行せねばねばに日本国債への不信感が増すリスクがあるり、実行すれば更なる消費の冷え込みを招くという袋小路に入りつつあると思います。

成長戦略の目玉である規制緩和は自民党大勝をさせた既得権者と対決する政策ですから選挙も控え自民党議員の抵抗も既得権者の抵抗も強いでしょうから結局実行できないとおもいます。そうなれば今までの株高を支えた海外投資家が日本から逃げる事になります。正に「行くも地獄、戻るも地獄」という事ではないでしょうか。最近の安倍総理を見ていると経済問題には関心が薄く高い支持率の内に彼の悲願である憲法改定の実現を視野に優先している感じがあり、この辺りも投資家は冷静に見ていると思います。

 どうすれば良いか。これだ、という妙案はないと思います。経済の基本である「入るを図り、出るを制す」も、消費増税の時に国民に約束した国会議員の定数削減も無駄使いをやめることも実行する積りは全くない感じです。例の号泣会見で有名になった地方議員に認められた政治政策費は全国ベースで見ると年間約121億円です。世界との比較でも日本の国会議員の歳費+種々の諸手当を入れれば世界で最高レベルです。自分達に痛みを伴う事は目をつぶり取り易い庶民から増税を進める政策では日本は破綻します。破綻しなければ気が付かないのが今の日本の政治家と我々国民ではないでしょうか。

<福井義夫さんの見解>

アベノミクスについて

1.目的

・デフレ脱却

・景気押し上げ

2.政策

・非伝統的手段による金融緩和の強化(2年後に2%の物価上昇が目的)

・拡張政策を先行させる財政政策(公共事業、バラマキ)

・景気浮揚持続のための政策(成長戦略)

3.効果の程は

・金融緩和による円安、株価上昇は一応狙い通り(景気向上の期待感の醸成)

・公共事業、バラマキにより一時的には好景気と錯覚させる、但し一過性に

過ぎない

・消費増税を見越した駆け込み需要もあり、国民消費は一時的に増加した。

・現状国民消費は減速しているが、これを消費増税の反動と見なせるかどう

かこれからが正念場(4~6のGDP指標は年率換算前期比マイナス7.1%)

・成長戦略は何も具体化されていない(看板のみ、又即効性はなし)

4.今後はどうなる

・国民消費減速の如何によっては、補正予算が必要となろうが出来るかな?

・国際公約の2%の追加消費税増税は実施せざるを得ないであろう

・物価上昇目標2%の達成後に起こるであろう金利上昇に耐え得るか

・財政収支の均衡はどうなる

政府は平成20年にプライマリー収支均衡の目標を掲げているが、例え

達成できたとしても、その時点における財政収支の赤字は成長率(名目+

3%)としても約50兆円に達しているとの試算もある。

・このままの財政政策を続けるためには、大幅な歳出削減または、消費税

増税(20%程度)が必要となるのではないか。国民がこれに耐え得るかど

うか。経済成長が回復すれば別だが、今の日本の実体経済の状態では期待

薄の様に思える。

5.景気の好循環が生じているとは思えない。近き将来アベノミクスは失敗との

評価が下されであろうが、その時には彼は政権の座にはいないであろう。

気楽な稼業。

 

 

プライマリー収支

国債発行による借金を除いた税収など正味歳入と、借金返済のための

元利払いを除いた歳出(社会保障費と地方交付税)の収支。収支が均衡していれば、借金に頼らず元利払い以外支出を賄えている。90年代初めから国のプライマリー収支は赤字が続く。政府はこの黒字化を財政健全化の「一里塚」と位置づけているようだ。

 

財政収支

国債発行収入を含む歳入と国債返済の元利合計を含む歳出との差。

 

財政収支赤字50兆円とは;

地方交付税(100%カット)

公共事業(100%カット)

社会保障費(100%カット)

これでもまだ不足である。

 

経常収支:下記の各収支をまとめたもの

貿易収支

所得収支(直接投資などからの収益等)

サービス収支(保険、弁護士費用等)

経常移転収支(政府間援助など)

2013年度の貿易収支は13兆7488億円の赤字(3年連続)、この赤字

を所得収支で補うことにより、経常収支はなんとか黒字を保っている。

 

経常収支の赤字:

・国内の経済的な富が国外に流出することになる。

・国内の資金で財政赤字をファイナンスする術がなくなる。

・政府発行の国債を海外の投資家に買ってもらう必要がある。但し10年

国債の利回りが大幅に上昇即ち、国債価格が急落し金融市場の混乱を

招く。

・赤字からの脱却には、国内企業の競争力を高め、所得収支の黒字幅を拡

大する以外になさそうである。

以上

 

9月16日の勉強会報告ーー「アベノミクスと私どもの生活」

2014-09-27

9月の勉強会は16日、「アベノミクスと私どもの生活」をテーマに開かれました。会合の冒頭に早房が皆さんに配布した資料は下記の通りです。

 

アベノミクスの成果と問題点

アベノミクスは第2次安倍晋三内閣が発足した直後の2013年1月に正式に発表された。

「デフレからの脱却」が大目標で、主な手段は「3本の矢」として示された。

 1)大胆な金融緩和ーー2%のインフレ目標、通貨流通量を2年間で2倍に

2)機動的な財政支出ーー大規模な公共事業

3)民間投資を喚起する成長戦略ーー最近の柱は女性活用と地方創生

<成果>

●円安ー1ドル=82円45銭(2012年11月末)→107円台

●株高ー日経平均9446円→1万6000円近く

●失業率、有効求人倍率、企業収益も改善

●今春闘で久しぶりに賃上げが実現

<問題点>

●円安でも輸出伸びずーー貿易赤字傾向が定着

●中小企業の収益や地方経済は改善せず

●賃金上昇が物価上昇に追いつかないため、家計の可処分所得と消費の減少続く

●所得格差の拡大ーー社会の中間層がさらに薄く

<当面の課題>

実質成長率が、第1四半期には消費増税の駆け込み需要もあり、年率で6.1%伸びたが、第2四半期にはマイナス7.1%と大幅に下落した。このため、政府・与党内部でも、来年10月に予定されている消費税再増税についての延期論が出ている。民間エコノミストの間では、「デフレ脱却の目標達成も危ない」という声もある

(文責 早房長治)

<出席者からの主な発言>

●主な収入は遺族年金だけ。消費税増税の負担が重い。来年、再度引き上げられたら、生活はさらに苦しくなる

●アベノミクスの大きな成果は株高だというが、だれが得をしているのか。庶民は関係ない

●アベノミクスの成果で潤うのは大企業だけ。中小企業や労働者はどうなるのか。とりわけ、派遣労働の多い若者たちは人生設計ができないから、結婚もできず、子供も産めない

●アベノミクスにはいい点もある。しかし、今のままでは、経済は回らない

●消費税増税の前提になっていた行革も議員定数削減も進んでいない

●安倍政権は大企業向けに法人税減税を実施し、一方、大企業は自民党に対して企業献金を復活させるという。これはおかしい

(早房の感想ーー皆さんの発言は意外なほど、厳しいものでした。勉強会報告2もご覧下さい)

                                                                       

 

「次回のコンサートはジャズを」の声が大勢

2014-09-26

「挑戦するシニア」は9月16日、次回のコンサートについての相談会と9月
の勉強会を兼ねた会合を開きました。この日は多忙の会員が多く、参加は11
人でした。このブログでは、コンサートの相談会の結果を報告します。

牧野義司さんから「熟年の男女による、ジャズのヴォーカル・デユオ・コーラ
スがある。過去2回のコンサートはクラシックだったから、次回は大人のジャ
ズを愉しんでもらうのもいいのではないか」という提案があり、これを土台に
活発な話し合いが展開されました。半数以上が「次回のコンサートはジャズを
トライするのがいい」という意見で、見市元・理事と私が、この日は欠席した
牧野さんとともにジャズ・コーラスの2人と接触し、プランを具体化して、会
員の皆さんに報告することになりました。

牧野さんから提出された資料による、ヴォーカル・デユオ・コーラス AIR
の紹介は下記の通りです。

「大人のジャズのヴォーカル・デュオ・コーラス AIR」は正確には200
5年にグループ結成された「大人のジャズ」が売り物のグループです。ソフト
なバリトン西高志さんが唄とボンゴ、メゾソプラノの中西雅代さんが唄とピア
ノで、オーソドックスなジャズをベースにポップス、ロックなどの幅広いレパ
ートリーをこなします。
このうち西さんは慶応大を卒業後、三井物産に入り、総合商社マンとして現場
でさまざまなビジネスにかかわった人ですが、学生時代からジャズが好きで、
趣味でジャズを楽しみ、2005年の「AIR」結成後、月に数回、仕事を終
えたあと、ホテルやレストラン、ジャズクラブで楽しんで唄っていました。そ
して今年6月に定年退職したのをきっかけに、AIRの活動に関して、プロデ
ビューしたばかりです。
パートナーの中西さんは、一橋大在学中から、ピアノでジャズを歌うのが好き
で音楽活動していましたが、卒業後、西さんよりもずっと早くにプロデビュー
し音楽事務所をベースに活動、「AIR」結成をきっかけにヴォーカル・デュ
オ・コーラスで独立しました。

なお、相談会では、「第2回コンサートのように、私どもシニアが若い音楽家
を支援し、育てる活動も継続すべきだ」という発言があり、多くの賛同を得ま
した。
(文責 早房長治)

対イスラム国有志連合問題、日本にとって難題

2014-09-25

みなさん  へ

ニュースにて報道されている通り、先週 Australia 議会は 米国からの要請で 、イラク・シリアに拠点のある(?) ISIS – イスラム国 -壊滅の為 Australia軍 600名派遣を決めた。
日米安保条約みたいな Australia & USA Security Agreement に基くものである。
一方、これも先週 Sydney とBrisbane (Logan) にてイスラム過激派と見られる 15名が 警察に逮捕された。Aussie(オーストラリア人) を誘拐し殺害の恐れがあった、と伝えられる。
報道では この15名は ISIS のメンバーとか。

現地でも 米英仏に加え、Australia, Canada も殺害の対象にする とISIS が 名指しで、ワザワザ発表。
それに対抗する活動の一環でもあり、テロ組織 壊滅は 今 世界が取組まねばならぬ最優先課題。

日本は今の所、 ISIS から襲撃の対象とはなって居ないらしいが、日米安保条約等により 、もし”集団的自衛権行使” による 自衛隊派遣 要請が出た場合、安倍政権は どう対応するか?

若しかすると、既に外務省・防衛省に 協力要請が届いているかもしれない。
中東諸国に 石油の殆どを依存する我が国に とり非常に難しい判断であろう。
欧米諸国と 一致協力しISIS 壊滅作戦に 自衛隊参加となれば 敗戦後69年が過ぎ 初めて 軍事力 行使となる。
果して、 衆参両院での討論はどうなるか?
集団的自衛権行使容認は、尖閣諸島や北朝鮮などをアタマに 閣議決定 したのではなかったか?

其れが 想いもよらぬISIS と云う” トンデモナイ・テロ組織” やっつける行動に 国際社会の一員として 参加せざるを得ないのでは?

安倍総理は 国連で 演説するが、その中で この問題に どう 触れるか 注目したい。

豪ヒマ人  より

朝日新聞問題:主義主張の異なる「声」も載せよーー小林昌三

2014-09-23
守山  淳   さま
貴兄が早房長治さん” 挑戦するシニア” に書かれた一文に 賛成です。
確かに 20数年前に書かれた 吉田清治記者のデツチ挙げ記事を謝罪も訂正もせず、放置して来た姿勢は 如何なものか?
その後も「天声人語」や韓国などで慰安婦問題が 取り上げられたが、ベースになっているのは、この「吉田記事」らしい。
国連・人権委員会も日本非難の基になったのは、このデツチ挙げの記事。日本の名誉が傷付けられた「罪」は 計り知れない位大きい。
今回 ” 謝罪会見 ” で、木村社長が 第三者委員会を設置して早急に真実・事実の解明に尽くすと発表。福島原発事故時、吉田所長の指示 マチガイ記事も含め一段落したら責任取って辞任の意向らしい。
ただ、今回だけでなく、朝日新聞の企業風土と云うか 社内カルチャーは仮にトップが辞めても、そう直ぐには変らない、変えられない  と思う。
一方、一般読者が意見を投稿出来る「声」ランがあり、何度かトライしてみたが みんな没、会社の主義主張に合わなかったらしい。
投稿条件が厳しく 又、「採用されなくとも原稿は返済しません」とハッキリ書いてあるが……。
まあ これを機会に朝日新聞に多少の変化が起る事、を期待したいが 果たして?
貴兄の一文 から そんな事を感じました。
リハビリ生活も あと2週間(?)の辛抱、早く元のお元気な身体に戻って 更なる ご活躍を!!
Ciao !   Ciao !
小 林 昌 三    拝

朝日新聞問題:守山コメントと早房反論についてーー小林昌三

2014-09-23

私は 個人的に 朝日新聞に昔からずうっと好意を持っている。
友人・知人が居るからです。
村野 坦君(入社前・1961年からの友人)、黒田正純氏(義父、長女のダンナ・淳一郎の父親)、角倉一朗氏(故人・実姉日比谷高校からの友人) そして 早房長治さん……。
実は 義父(野村勉四郎・故人、某ビール会社役員)が 敗戦後30年以上購読していた朝日新聞を昭和50年頃 自社に関する記事に(?) 腹をたて本社に抗議したが 訂正されず アタマにきて購読中止、読売新聞に換え 98歳で亡くなる迄、購読、時々 サンケイ新聞も併読。日経は常に購読を続けていた。
守山さんが指摘する” 企業体質” と言うか企業風土と云うか 「特異な」やや左寄りと呼ぶような偏った傾向、が かなり 以前からあった様に思う。
競争相手の産経新聞・高山正之氏が 週刊新潮 で頻繁に朝日新聞をこき下ろしているのは ご承知の通り。彼ほどではないにせよ、私も 朝日新聞・AERA・週刊朝日など ” 改ざん” とは考えないが注意しながら読んでいる。今回の「事件」で木村社長と編集主幹・広報部長 3名 “謝罪記者会見” video を3回も観た。2時間に及ぶ質疑応答で、二人の吉田氏にまつわる「改ざん記事」は解明された訳ではないが 朝日新聞側の釈明と反省は上辺だけとの印象で 守山氏が いみじくも指摘する「長く染み付いた体質」で、今後も変らないのでは無いか? 朝日の企業体質を変え得るか否かは 根本的問題で トップが代わるだけで 同じ誤ちを繰り返すのではないか?  に僭越ながら 小生も 賛成です。

いつもの独断と偏見で 一言。

豪ヒマ人  より

朝日新聞の経営姿勢は批判されて当然ーー守山淳

2014-09-23

早房様

 今回の件で多くのマトモナ朝日の記者諸氏が随分と無念の思いをされている事は理解出来ます。

物産も私が在任中に二つの不祥事? (国後問題とDPF問題)でマスコミからバッシングを受けました。他部門の案件でしたが経営姿勢の問題とは少し違うな、とも感じました。しかしそれは飽くまで社内の問題で会社としてはどの部門が行った独断であっても結果責任は負わざるを得ない物だとも感じました。当時の反省の一つに経営が利益を上げる事に夢中でそれが知らず知らずに現場に無言の圧力に成った面があるのでは、という事でした。誰が見ても公平な業績数字でボーナスが決まる仕組みでしたから。故のこの不祥事を受けて社長に成った槍田社長は評価基準を定量数字でけでなく定性評価を入れて良い仕事を、と社員に訴えました。

朝日の問題は早房さんが反論される通り現場の一線で活躍される記者の皆様の気持ちだと思いますが編集責任者などに経営幹部の姿勢が全く反映されなかったのでしょうか? 何故慰安婦問題は事実に反すると指摘されながら今日まで何ら謝罪や訂正が成されなかったのでしょうか。

加えて言えば今回の謝罪会見も政府が吉田調書を公表すると成って慌てて行った感があります。もし政府が公表を決めなかったら朝日は何もしなかったのではないか、との疑いがあります。それは慰安婦問題での誤報を報じながら社長が謝罪を拒否し記者会見も行わなかった姿勢にも表れている様に思います。これも経営陣の姿勢・社風なのではないでしょうか。当然現場の社員・記者の中にはそうした経営に対する不満も大勢あったと思いますがそれが経営に届かない仕組みも含めそれは飽く迄社内の問題で少なく共対外的に明確な行動で示さない限り、今回の様な非難を浴びても已む無しだと思います。

今の朝日不買運動や潰せという世論の流れには私自身は大いに違和感ありです。センセーショナルな報道で無実の人を罪人にした多くの例(例えば松本サリン事件の河野氏。今年で20年ですね)と同じで今度は国民が狂った感情論で走っている怖さを感じます。朝日の吉田調書の報道があったからこそ原発再稼働を進める政府は不都合な事実が表に出るのを嫌がり公表をけた事実を朝日がこじ開けた功績は正当に評価すべきだと思っています。

朝日新聞の報道姿勢の基本についてーー守山淳

2014-09-15

朝日新聞の慰安婦報道、福島原発の吉田調書に対する「誤報」謝罪は大きな話題になっています。

多くのマスコミが朝日の「誤報」と称し村上社長も誤報に対する謝罪をしています。しかし私は

これは誤報では無く「改ざん」だと思います。既に朝日の報道姿勢が指摘されていますが「自社

の主義・主張がありそれに都合の良い部分だけを切り貼りしたり取り上げて報道する方針」でこ

れは真実に元ずき客観的事実で報道、異論・反論も同じく掲載するというメデイアの基本に逸脱

する行為だと思います。

中国の報道は常に中国よりで左翼新聞と言われて久しいですがそれを裏付ける寄稿を入手しまし

たので御紹介します。ここから見えて来る物は単なる「誤報」では無く朝日新聞に長く染みつい

た会社の体質だ、という事です。朝日がアンチ安倍総理である事は良く知られています。それも

朝日の体質からの問題です。その意味で今回の件で社内チェック機能の見直しなどをすると村上

社長は記者会見で言いましたが、それで済む問題ではなくチェック機能でなく朝日の基本的体質

を変えれるか、という根本的な問題でこれが変わらない限り朝日は同じ過ちを将来犯すと思いま

す。

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守 山  淳 経営コンサルタント オフィス J.M.代表

〒107-0062 東京都港区南青山3-12-12 南青山312ビル 604号室

携帯電話 : 080-1075-6266   FAX : 03-6459-2112

E-メール: jun1207@abox2.so-net.ne.jp

自宅: 〒107-0062 東京都港区南青山4-15-16-301

電話・FAX: 03-3796-5566

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