残業代ゼロより残業ゼロがより重要ーー7月の勉強会報告

2014-07-08

7月1日に開いた月例勉強会では、安倍晋三内閣が6月24日、閣議決定した
新しい成長戦略全体について話し合うつもりでした。しかし、実際は、時間の
制約などで、専門職のサラリーマンに成果主義の働き方を導入し、残業代をゼ
ロとする問題が中心テーマとなりました。

勉強会に先立って、幹事役を務める早房から配布した「資料」は下記の通りで
す。

「挑戦するシニア」7月勉強会・資料

安倍政権は6月24日、新しい成長戦略と、経済財政運営と改革の基本方針(
骨太の方針)を閣議決定しました。成長戦略の主な項目と、その改革点、問題
点は下記の通り。

1) 法人税減税――35%から20%台へ
●減税分を、企業が設備投資、賃金、配当に使うか
2)公的年金基金(GPIF)の資産構成を今秋までに見直し、株式投資の大幅拡
大を促す
●株価が暴落したら、回復する手段がない

3) 配偶者控除の見直し。配偶者の年金保険料を免除する「第3号被保険
」の見直し
●サラリーマン世帯の実質的減収

4)残業代ゼロ――年収1000万円以上の専門職に、時間でなく、成果で測
る働き方を導入。16年春から実施へ
●従業員の立場は弱く、長時間労働が増える可能性も

5) 混合医療制度の新設――16年度を目途に
●安全性と有効性の確保

6) 農業改革、とりわけ農協改革
●競争激化で零細農家は厳しい立場に

★このほか、国家戦略特区で、家事を手伝う外国人労働者の受け入れ/外国人
技能実習制度の拡大/安全が確認された原発の再稼働を進める/再生可能エネル
ギーの買い取り制度の見直し

話し合いを始めてみると、成果主義によって労働価値を測る問題がかなり複雑
な要素をはらんでいることが浮き彫りになりました。「チームワーク型の日本
の労働システムの下で個人の成果を測ることは可能か」「政府は自分で時間管
理できる専門職のサラリーマンを対象としているが、イメージが明確でない」
「年収1000万円以上の専門職はサラリーマン全体の約4%といわれる。こ
の人たちの働き方を変更して、どれほどの意味があるのか」など様々な意見が
出ました。

いつものように議論百出する中で、多数のメンバーが一致したのは、「長時間
労働によって多額の残業代を稼ぎ、それによって生活を維持する、日本の従来
型の働き方は、もう止めた方がいい」という点でした。「残業代の有無も問題
だが、残業を減らしたり、なくなすことがより重要だ」「ワークライフバラン
スの大切さを忘れてはいけない」という発言もありました。

「経営者側は、近い将来、残業代ゼロをサラリーマン全体に広げようとしてい
るのではないか」という指摘があり、大多数が「そんなことが起きたら、これ
まで以上にブラック企業がはびこり、過労死が増えるだろう」と応じました。
このような事態を防ぐには、「長時間労働の規制や、労働間のインターバル規
制を厳格化する必要がある」というのが多数意見でした。

皆さんの発言から推測すると、若い世代はシニアより時間に厳格で、長時間労
働を嫌う傾向があるようです。これが事実なら、その感覚が長時間労働を阻む
突破口になりえます。まず、職場からなくさねばならないのはサービス残業で
あると考えます。

<成長戦略の他の項目について>

法人税減税については、「政府の説明は不明確で、よく理解できない」という
条件付きで、「賛成できない」という発言が多数でした。

公的年金基金(GPIF)からの株式投資比率を大幅に増やす問題については、「
そんなことをしたら、株価が暴落した場合、どうするのか。だれが責任を取る
のか」という声が一斉に上がりました。

(文責=早房長治)

 

 

 
 

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