集団的自衛権の行使で自衛隊は米の傭兵に?--勉強会報告
6月の勉強会は3日(火)に「国のかたちーー集団的自衛権の行使を中心に、
憲法改正問題も」をテーマに開かれました。会合の3分の2では、政府が出し
た集団的自衛権の行使をめぐる15事例などを中心に話し合いました。最後の
3分の1では、「戦争を経験したシニアとして、若い世代に何を伝えたらいい
か」について出席者全員に発言してもらいました。
問題全体の話し合いでは15事例が俎上にあがりましたが、「法律家の三百代
言の域を出ない」「政府に都合のいいことだけを挙げている。こんなもので国
民を説得できると考えているのか」などの厳しい批判が圧倒的で、15事例に
ついての詳しい検討は行われませんでした。この背景には、出席者の大半が「
憲法は国家の基本法規なのだから、あまり細かいことを議論しても意味がない
。日本のあり方はどうあるべきかという原点から発想しなければならない」と
考えていたことがあるようです。
日本のあり方としては、「国内的にも国際的にも、平和を守ることに尽きる」
「安倍政権が追求しているような富国強兵には反対。日本は国際紛争はあくま
でも外交で解決するという、独特のやり方あるはずだ」「専守防衛の原則は譲
ってはいけない」などの現憲法の原則に近い考え方が多く出されました。「日
本も集団的自衛権の行使や独自の軍備増強で抑止力を強めるべきだ」という発
言もありましたが、これに対しては「中国を意識しての発言だろうが、中国と
の抑止力競争は必ず行きづまる。避けるべきだ」という反論が出ました。
話し合いで多くの人から指摘されたのは「集団的自衛権の行使が決まった場合
、日米の軍事的関係はどうなるか」という点でした。最近の国会審議などでは
、あまり問題になっていないテーマです。「日米の力関係からいって、日本は
米国の要求を断ることはできまい。中東でもアフリカでも一緒に派兵するよう
に要求されたら、自衛隊は米国のために他の国と戦争せざるをえなくなる」「
すでに日米共同演習では、米軍が完全に指揮権を握っている。その程度がさら
に増すのは必至だ」「集団的自衛権の行使によって、自衛隊は事実上、米国の
傭兵と化するのではないか」という厳しい指摘が続出しました。
上にも述べましたように、話し合いの後半では全員が「シニアとして若い世代
に伝えたいこと」について発言しましたが、これについての報告は別項のブロ
グでいたします。
(文責=早房長治、6月9日)